ウクライナ副首相からイーロン・マスクへのtwitterによる交渉が成立〜スターリンク作戦始動〜
KNNポール神田です。
ロシアのウクライナ侵攻中の現在、ウクライナのミハイロ・フュードロフ副首相兼デジタル変革大臣は、イーロン・マスクあてへのツイートで通信衛星回線を要請した。
このtwitterの要請を受け、イーロン・マスクは、twitterでこう答えた。
なんと、イーロン・マスクは、10時間後のスピード回答である。
そして、その12分後には、フュードロフ副首相からのお礼がツイートされた。
ウクライナ ミハイロ・フュードロフ副首相のフォロワーは、4.6万人、そしてイーロン・マスクのフォロワーは、7,533万人というフォロワーの聴衆のもとでこのやりとりがなされている…。
むしろ、国家元首のやり取りよりも早く、そして世界中に一斉にリアルタイムにそのやりとりが周知される。
まさに、イーロン・マスクは、ウクライナの危機を電子機器で救うアイアンマンのようだ。
■宇宙からインターネットを展開する『スターリンク』
スペースX社の『スターリンク』は、高度約550キロの地球低軌道に約1万2000基の通信衛星を自社ロケット『ファルコン9』で打ち上げて、世界中のどこでも高速インターネットが使えるようにするもの。 最初が高度550kmの約1,600基の衛星で、次が高度1,150kmのバンドを用いる約2,800基の衛星、さらに高度340kmのVバンドを用いる約7,500基の衛星である。10年におよぶ計画の総コストは、設計・製造・打ち上げなど100億ドル(1兆円)近くに達すると推計されている。
■Apple、ティム・クックCEOへロシアへのAppSrore閉鎖のお願いの書簡も公開!
ウクライナのフュードロフ副首相のtwitterによる外交戦略はとどまるところを知らない…。twitter外交でありとあらゆるコストと時間をかけない戦略を公開している。
これに対してのティム・クックCEOの答えは、まだないが、このツイートの1日前の2月25日(金曜日)にこのようにコメントしている。
■ViberとPayPalがロシアをブロック対象へ?
フュードロフ副首相の書簡公開がさらに続いている。
2022年2月27日(日曜日)
私達は、侵略者隔離の開発に常に取り組んでいます! 楽天(@Viber)のCEOと連絡を取りました。
PayPalはロシアでサービスをブロックしています。若者と考えるロシア人、目を覚ました方が良い。
Toshiko Otsuka 大塚 年比古氏は Rakuten Europe Bank S.A.の執行役員
『Viber』は楽天が所有するインターネット電話アプリ。
日本ではマイナーであるが、ロシアでは2,800万人のユーザーがいる。2014年に楽天が9億ドルで買収。本社はキプロス共和国で開発はベラルーシで日本企業の楽天の子会社。
しかし、Viber側は意味深なツイートを木曜日にしていた。
【追記】2022年2月27日日曜日の、楽天の英文コメントでは、ロシアでも提供を続けると声明し、無料のクーポンを配布するプログラムも開始し、広告も削除した。ウクライナでのネット電話アプリのViberインストール率は97%。
ロシアでは44%
■楽天三木谷氏の個人10億円のウクライナへの寄付
一方、Viberの親会社の楽天の三木谷氏は、ウクライナのザランスキー大統領へ10億円を寄付する書簡を添えた…。
あくまでも個人としての寄付とあるが、三木谷氏の一声で、Viberのロシアでのサービス停止も可能となるのかもしれない。
むしろ、数ヶ月先に影響のでる経済制裁よりも、明日から止まってしまうサービス制裁のほうが国民にとっては恐ろしいからだ。
■サイバーテロの前に情報遮断するのもひとつの戦略
今回のウクライナ侵略だけではなく、サイバー侵略も進んでいるいるようだ。
むしろ、ロシア市民にとっても痛いのが西側からのサービスが遮断されることかもしれない。ロシアには1億人参加の『VK.com フコンタクチェ』というFacebookクローンがあるのでそれほどの影響はないが、『Viber』や『PayPal』のようなサービスが遮断されると、国民の生活に支障がでてくることだろう。
ロシア国民全員がウクライナ侵攻支持ではないが、ロシア国内でのプロパガンダでは自国の同胞を守るためとあるので、西側のサービスの遮断は慎重に行動する必要がある。
これは、国家を超えて、GAFAなどのネットサービスがすでに世界の国民に浸透しているからといえよう。
ウクライナのミハイロ・フュードロフ副首相兼デジタル変革大臣がいることによって、世界に自分の意思で動けるリーダーがいることの影響力が可視化されている。
常に、Twitterの
https://twitter.com/FedorovMykhailo
とDeepLの翻訳は欠かせない日々となった。
マスメディアの媒体による伝聞と、ウクライナの中枢ではスピードがまったく違う…。
果たして、日本で万一の時に、この役を担える人は果たしているのだろうか?