「クレジットカード」「デビットカード」「プリペイドカード」は何が違う? お店でもネットでも状況に応じて使い分けると便利!【2022年1月版】

「クレジットカード」「デビットカード」「プリペイドカード」は何が違う? お店でもネットでも状況に応じて使い分けると便利!【2022年1月版】

 コンビニエンスストアや大手/中堅スーパーマーケットを中心に、キャッシュレス決済に対応するお店が増えています。住んでいる場所にもよりますが、現金を持たずとも日常生活をこなせるという人もいると思います。

 ひと言で「キャッシュレス決済」といっても、さまざまな方法があります。店頭、インターネット(Web)での利用から海外渡航時まで考えると、「Visa」「Mastercard」「JCB」といった国際的な決済ブランドの付いたカードを持っていると便利です。

 ただ、国際的な決済ブランドの付いたカードといっても、大きく「クレジットカード」「デビットカード」「プリペイドカード」の3種類があります。それぞれ、どのような違いがあるのでしょうか。改めて確認いていきましょう。

 この記事で取り上げるデビットカードとプリペイドカードは、国際的な決済ブランドの付与されたものです。ご了承ください。

キャッシュレスの第1歩につながるクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードは何が違う?

 クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードは、そのカードに付帯する国際的な決済ブランドの加盟店(店舗やWebサイトなど)で利用できます(例外は後述します)。言い方を変えると、当該の決済ブランドに対応していない加盟店では使えないということです。

 それだけに、どのブランドを選ぶかは意外と重要です。日本では以下の国際的な決済ブランドが広く普及しています。

 カード発行会社は、これらのブランドのいずれか(あるいは複数)と契約し、自らが発行するカードに付与しています。カードによっては、複数のブランドから選択できることもあります。

 「使えるお店」という観点で見ると、それぞれのブランドに「強み」があります。簡潔に示すと以下の通りです。

 海外渡航の多い人、あるいは海外のEC(Web通販)サイトを使う機会の多い人は、VisaブランドかMastercardブランドのカードを持っていると安心です。日本でも、小規模な加盟店ではVisaカードとMastercardのみ使えるというケースも増加傾向にあります。

Visaカード(左)とMastercard(右)は加盟店が世界中に広がっていることが特徴です。Visaカードはアメリカ大陸で、Mastercardはヨーロッパで特に強みを持っています(出典:Visa/Mastercard)

 一方、日本国内で使うことに特化するなら、日本生まれのJCBブランドのカードに一定の強みがあります。上に挙げた通り、海外でも日本人観光客の多い地域では導入率が高めです。

 American ExpressとDiners Clubは、先述の3ブランドと比べると加盟店数はやや少ないですが、日本国内ではジェーシービー(JCBブランドの保有会社)と提携しているので、JCBブランドの使えるお店では使えることが多いです(※1)。また、コンビニエンスストアや大手のスーパーマーケットでは問題なく使えます。

(※1)JCB加盟店でAmerican ExpressブランドやDiners Clubブランドのカードを利用できるかどうかは、加盟店の契約によって異なります。対応状況は、店頭のステッカーなどで確認してください

JCBは日本生まれの国際的な決済ブランドです。日本人の多く訪れる場所でも加盟店網が広がっています(出典:ジェーシービー)

 一般的に、クレジットカード、デビットカードやプリペイドカードを利用して決済をすると、決済金額に応じて「ポイント」が付与されたり、「キャッシュバック」が行われたりします(※2)。そのため、現金とカードの両方で支払える加盟店の場合、基本的にはカードで決済した方が“おトク”になります。

(※2)特定の加盟店においてポイント付与やキャッシュバックを行わなかったり、付与/還元比率が低かったりすることがあります。詳しくはカード発行会社に問い合わせてください

三井住友カードが発行するクレジットカード(一部を除く)、デビットカードやプリペイドカード(一部)を利用するとたまる「Vポイント」は、三井住友銀行と共通のポイントプログラムで、さまざまな景品への交換や月々の請求の値引きなどに利用できます。「Vポイントアプリ」から発行できるバーチャルタイプのVisaプリペイドカードを使うと、Visaのタッチ決済(NFCコンタクトレス)やiD(アイディー)加盟店でも利用できるバーチャルプリペイドカード発行できます(出典:三井住友カード)

 クレジットカードは、カード発行会社が個人ごとに割り当てた「利用限度額」の範囲内で商品を“後払い”で購入できるカードです。「クレジット(Credit:信用)」の名前の通り、限度額は「個人の信用」によって決まる仕組みとなっており、カード会社が「審査」を通して決定します。

 審査があるために、後述する他のカードと比べると発行の手続きはやや煩雑ですが、加盟店(使える店)に制約がないことが最大のメリットです。また、回数を指定した「分割払い」、毎月の利用代金を固定額にできる「リボルビング(リボ)払い」など、しっかりと計画を立てて使えば資金不足でも買い物できる方法が用意されています。

 さらに、キャッシング(貸金)機能を付帯しておけば、海外のATMで現金を借りることができます(※3)。「借金はちょっと……」と思う所ですが、貸金の1カ月分の手数料(金利)は、海外でデビットカードやプリペイドカードを使って現金を引き出す際の「手数料」よりも割安であることが多いので、海外で使うと割り切れば大きな利点となります。

 ただし、後払いですので使いすぎには注意が必要です。特に先述の分割払いやリボ払いでは残高に対する手数料がかかるので、多用しすぎないように気を付けてください。

(※3)一部を除き、クレジットカードのキャッシング機能は原則としてオプションとなっています。オプション提供の場合、別途申し込みが必要です(カードの新規発行後に申し込むことも可能ですが、別途審査が必要です)

クレジットカードは、利用者ごとに付与した「限度額」の範囲内でカード発行会社が商品の代金を“立て替えて”支払う仕組みとなっています。利用代金は後から払う必要があることは忘れないでください。なお、後述するデビットカードやプリペイドカードでは、図中の「カード利用分の請求」と「請求額のお支払い」が即時に行われます(出典:ジェーシービー)

 デビットカードは、利用代金を銀行の預金口座から即時に引き落とすカードです(※4)。預金口座の残高が事実上の利用限度額となるため、使いすぎを防ぎやすいことが一番大きな利点です(※5)。海外ではクレジットカードと並ぶ主要な決済手段として広く普及しています。

 その性質上、デビットカードは銀行が直接発行することが原則です。普通預金口座を保有している銀行がデビットカードを発行していれば、簡単な手続きでカードの発行を受けられます。キャッシュカードと一体化されたデビットカードを用意している銀行も少なくありません。銀行によっては中学生や高校生でも発行できることや、海外での預金引き出しに対応していることも魅力です。

 ただし、預金残高が足りない場合は決済できません。また、不正利用防止の観点から「1日当たり」「1カ月当たり」の利用限度額が設定されている場合もありますので注意してください。

 さらに、加盟店によってはデビットカードの利用を制限、または禁止していることがある他、オンライン決済ではシステムの都合で「二重引き落とし」(利用代金の2倍の引き落とし)が行われる場合もあります(詳しくは後述します)。

 日本では、Visaブランド、Mastercardブランド、JCBブランドのデビットカードがあります。普通預金口座の開設と同時にデビットカードの新規申し込みを受け付けているケースもあるので、ぜひチェックしてみてください。

(※4)決済システムの都合で、利用代金が残高より多い場合でも決済が成立してしまうことがあります。その場合、速やかに不足分を入金してください(※5)預金口座に「当座貸越サービス」や「カードローン」といった貸金サービスをひも付けている場合、残高不足時に自動的に融資が実行される場合があります。自動融資を希望しない場合は、口座をお持ちの銀行に相談してください

日本で初めて国際的な決済ブランドを付与したデビットカードを発行したのは、静岡県東部を主な地盤とするスルガ銀行でした。スルガ銀行に続く形で、多くの銀行が国際的な決済ブランド付きのデビットカードを発行するようになりました

 プリペイドカードは、あらかじめ入金(チャージ)しておいた残高の範囲内で利用できるカード(※4)です。チャージ残高が事実上の利用限度額となるため、使いすぎを防ぎやすいことが一番大きな利点です(※6)。

 カードにもよりますが、プリペイドカードは以下のような方法で入手できます。事前の申し込みをすることなく利用できるものもあります(※7)。

 プリペイドカードの中には、規約上利用者の年齢を制限していないものもあります。つまりデビットカードよりも低年齢(中学生未満)の子どもでも利用できるカードもあるということです。

 利用者の年齢を問わないという利点を生かして、「子どもにおこづかいを渡す代わりに使える」「家族で残高を共有して使える」といった、クレジットカードやデビットカードでは困難な使い方を提案するプリペイドカードもあったりします。

 プリペイドカードへの入金方法はカードによって異なります。主な方法は以下の通りです。

 ただし、その性質からデビットカードと同様に加盟店によっては利用を制限、または禁止していることがある他、オンライン決済ではシステムの都合で「二重引き落とし」(利用代金の2倍の引き落とし)が行われる場合もあります。

 日本では、Visaブランド、Mastercardブランド、JCBブランドのプリペイドカードがあります。店頭で入手(購入)できるものや、スマホアプリから発行できるものなら比較的早く使い始められます。自分にピッタリなプリペイドカードを探してみてください。

(※6)残高不足の際に自動的にチャージを行うプリペイドカードもあります(※7)一部の機能(主に銀行口座を使ったチャージや出金機能など)を使う場合に、申し込み(本人確認)手続きが必要となるプリペイドカードもあります

LINEアプリから利用できる決済サービス「LINE Pay」では、バーチャルタイプのVisaプリペイドカードを発行できます。スマホで「Google Pay」または「Apple Pay」にカードを登録すると、Visaのタッチ決済やiDに対応するリアル店舗で決済できるようになりますライフカードが発行する「Vプリカ」は、Webサイト上で会員登録するだけですぐに使えるバーチャルタイプのVisaプリペイドカードです。コンビニエンスストアなどで販売されている「Vプリカギフト」なら、会員登録せずにオンライン決済に利用可能です(Webサイトで登録したVプリカの残高に加えることもできます)インコム・ジャパンの「バニラVisaギフトカード」は、使い切りタイプの(チャージに対応しない)Visaプリペイドカードです。実店舗でも利用可能で、残高を使い切ると「おしまい」なので分かりやすいです(オンライン専用の「eギフト」もあります)

 バーチャルカードはWebサイトやアプリといったオンライン(インターネット)取引に特化した、実態を持たないカードです。決済に利用するカード番号やセキュリティコード(※8)は、アプリやWebサイトからチェック可能です。

 バーチャルカードは、プリペイドタイプの他、クレジットタイプやデビットタイプも存在します。ただし、鉄道の乗車券類の予約システムなど、決済に利用したカードを使って予約商品(きっぷなど)を引き換える用途には利用できません。

 なお、先述の通り、一部のバーチャルカードはGoogle PayやApple Payに登録することで、国際的な決済ブランドによるタッチ決済、あるいはiDまたはQUICPay+によるタッチ決済に対応可能です。また、オプションサービスでリアルカードを発行できるプリペイドカードもあります。

(※8)カードが手元にあることを確認するための3桁(American Expressは4桁)の数字

 カードの決済システムは、クレジットカードを前提とした仕様となっている場合があります。そのため、デビットカードやプリペイドカードには以下のような制約があります。

 通常とは異なる方法でカード決済を行う以下の加盟店では、デビットカードやプリペイドカードを利用できないか、利用する場合に一定の条件が設けられていることがあります。詳しいことは、カード発行会社に問い合わせてください。

 商品の返品などで「返金」が発生した場合、クレジットカードカードよりも処理の完了までに時間が掛かります(取り消しから通常は1週間程度、最長で70日程度)。返金が完了した際に通知を行うかどうかはカード発行会社によって異なります。

 オンライン決済では、カードの有効性確認の方法として決済金額と同じ金額を二重に課金するシステムもあります。このようなシステムを利用するWebサイトやアプリでデビットカードやプリペイドカードを使うと、一時的に代金の2倍の金額が口座から引き落とされます。口座の残高には十分気を付けてください。

 なお、余計に引き落とした金額については、加盟店(または決済業者)が返金処理を行います。先述の通り、返金処理は時間を要することがあるので注意してください。

【ICチップのないプリペイドカードを実店舗で使う場合の制約】

 リアルタイプのプリペイドカードの中には、ICチップを搭載しないものがあります。ICチップを搭載していないプリペイドカードは、一部の店舗で利用できない場合があります。特に、ヨーロッパの国々ではNFCコンタクトレスを含めたICチップでの取引を必須とする店舗が多いです。

 ICチップが必須の店舗で利用することがあらかじめ分かっている場合は、ICチップ付きのプリペイドカードを用意することをおすすめします。

【カードの名義が固定されているプリペイドカードを使う場合】

 一部のプリペイドカードは、カードの名義人が「CARD HOLDER」「PRIPAID MEMBER」といった固定値となっています。この場合、以下の対応を取ってください。

  • オンラインで利用する場合
  • 【暗証番号が設定されていないプリペイドカードを使う場合】

     一部のプリペイドカードは、カード決済時に用いる「暗証番号(PIN)」が設定されていません。鉄道の券売機やICチップ対応加盟店など、暗証番号の入力が必要な店舗では以下のいずれかの対応を取ってください。

  • 後から暗証番号を設定できないカードの場合
  •  クレジットカード、デビットカードやプリペイドカードを使ってオンライン決済をする場合、カードの名義人が決済していることを確認するために「3Dセキュア」と呼ばれる本人認証システムを利用することがあります。最近では、セキュリティを強化する観点から3Dセキュアに対応するカードの利用を必須とするサイトやアプリも増加傾向にあります。

     クレジットカードやデビットカードの場合、多くが3Dセキュアに対応しています。ただし、カードの発行後に会員用Webサイトから別途申し込む必要があるものがほとんどなので、忘れずに申し込んでください。

    イオン銀行が発行する「イオンカード(クレジットカード)」「イオンデビットカード(Visaデビット)」「イオン銀行CASH+DEBIT(JCBデビット)」は、カードが到着した後に会員用Webサイトから申し込むことで3Dセキュアを利用できます。本人認証は「アプリによるワンタイムパスワード」か「自分で設定した固定パスワード」から選べますクレディセゾンが発行する「セゾンカード」では、Web会員サイト「Netアンサー」に新規登録すると同時にカードの3Dセキュア利用申し込みが完了するようになっています。ただし、2020年1月27日までにNetアンサーを使い始めたユーザーは別途登録手続きが必要です

     プリペイドカードの場合、3Dセキュアに対応しないカードも多いです。プリペイドカードでオンライン決済をすることが多いという人は、3Dセキュアに対応しているカードかどうか必ず確認するようにしましょう。

    バーチャルタイプのVisaプリペイドカードを発行できる決済サービス「Kyash(キャッシュ)」では、リアルプリペイドカードカード「Kyash Card」を発行すると3Dセキュアを利用できるようになります。ただし、発行時に本人確認手続きと900円(税込み)の発行手数料がかかります

     クレジットカード、デビットカードやプリペイドカードは、自分のライフスタイルに合わせて選ぶと非常に便利なものです。この記事が、選ぶ上での“第1歩”になれば幸いです。

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