日本生命が非接触の営業を変革、スマホに導入した「奥の手」とは
「コロナ禍以前から若手を中心にデジタル指向が高まっていた。新型コロナウイルスの感染が拡大し、顧客とコミュニケーションを取る際の選択肢として対面と非対面の両方を用意する必要があった」。こう語るのは日本生命保険の江口友悟商品開発部営業開発G調査役だ。
日本生命は2021年6月、同社の全営業職員およそ5万人を対象に富士通が提供するスマートフォンアプリ「Finplex eXgrow」を導入した。営業職員のスマートフォンで使用し、顧客に送信したコンテンツを実際に顧客が閲覧したかどうかを把握する。顧客側のデバイスに特別なアプリをインストールする必要はない。
顧客の反応を確認し、対応をスムーズに進める
コロナ禍以前、日本生命における営業職員と顧客とのコミュニケーションは基本的に対面で、顧客の反応を見ながら営業していた。非対面のコミュニケーションツールとしては電話を活用している程度だったという。しかしコロナ禍の影響を受け、新たにLINE WORKSやメール、ショートメッセージなどの活用を始めた。具体的には、LINE WORKSやショートメッセージサービス(SMS)などでキャンペーンやイベントの情報、保険料を算出するシミュレーション動画などを顧客に送る手法が営業職員の間で浸透してきた。
しかしまだ課題はある。江口調査役は「送信した資料やコンテンツなどを本当に顧客が見てくれたのかどうか分からない」と現場の課題を話す。現在、顧客に送信するコンテンツのほとんどは動画だという。
この課題を解決すべく日本生命が導入した「奥の手」がFinplex eXgrowだ。顧客がコンテンツを閲覧したかどうかを判別する仕組みは、コンテンツのリンクURLにある。営業職員がスマートフォンから顧客にコンテンツを送信する際に、顧客ごとに異なるリンクURLをFinplex eXgrowが発行する。
日本生命保険は全国の営業職員に配布したスマートフォンにFinplex eXgrowを導入した(出所:日本生命保険)[画像のクリックで拡大表示]顧客が受け取ったリンクURLからコンテンツを閲覧すると、Finplex eXgrowを通じて営業職員が確認できる。顧客がコンテンツを閲覧したかどうかが分かれば次のアクションにつなげられるため、ツールの効果は大きいという。江口調査役は「顧客対応がスムーズになる点でメリットと感じている」と語る。