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TikTok運営「バイトダンス」がネット広告で“圧勝”しているワケ。斬新すぎる手法の詳細
中国の2021年上半期におけるネット広告市場シェアは、バイトダンスが45.7%を占める結果となった。ショートムービー投稿アプリ「抖音(ドウイン)」とその国際版「TikTok」の人気により、世界的にも同社の存在感は増している。抖音やTikTokの強さの源泉は、莫大な利用者数にあるが、ネット広告の世界でも従来の検索広告やバナー広告を過去のものにするほどの革新性を持っている。抖音の広告の多くは、素人がスマホで撮影したようなクオリティーで、広告のプロフェッショナルほど侮ってしまいがちだ。だが、この一見素人クオリティーの広告が業界の常識を覆し続けている。抖音の広告の仕組みと業界にもたらした3つの変化とは。
ITジャーナリスト 牧野武文
ITジャーナリスト 牧野武文
消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。
<目次>- 「ショートムービー」が中国ネット広告収入トップに
- “素人クオリティー”でも効果は絶大
- バイトダンスがネット広告にもたらした「3つの変化」・変化その1・変化その2・変化その3
- なぜ、圧倒的に広告効果が高いのか?
- A/Bテストなどで判明、ショートムービー広告の特徴
- 消費者からの「好感度」も高い理由
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日本では抖音を直接見る方法がないため(国際版であるTikTokがインストールされる)伝わりにくいかもしれないが(抖音広告事例は後述する)、従来の広告、特にテレビCMを念頭に置くと、かなりびっくりされると思う。まるで、素人がさっきスマホで撮影したような内容なのだ。テレビCMのように高級感のある画面づくりや演出がされているCMはほとんどない。 たとえば、日用雑貨の広告では、ひたすらその雑貨の便利さが紹介される。ナレーションは明らかに素人で、販売会社の手の空いている人がついでにやったような手作り感がある。フルーツの広告では、産地の農家が出演して、方言の強い中国語でそのフルーツのおいしさや栽培方法を説明する。iPhoneの広告も、アップルではなく、取り扱いをしている販売店やEC業者が広告を出すため、洗練されたイメージなどまるでなく、ひたすら他よりも安く、早く手に入ることが訴求される。 一番考えさせられたのが、冷凍焼き小籠包の広告だ。社員らしき男女2人が、ひたすら小籠包を作り、食べているだけで、商品の説明も何もしない。しかし、見ているだけでおなかがすいてきて、注文したくなってしまうのだ。 映像広告というより、大昔に店頭で呼び込みや実演が行われていた様子を映像化した感覚に近い。広告制作のプロから見れば、抖音の広告はかなり粗雑な作りに見えると思う。しかし、コンバージョン(購入転換率)という面では圧倒的な効果をあげているのだ。これは一体どういうことなのだろうか。【次ページ】バイトダンスがネット広告もたらした「3つの変化」お勧め記事
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