携帯電話によるネット利用率 最も高い30代は「スマホとガラケー」併用率も最高7.4%

携帯電話によるネット利用率 最も高い30代は「スマホとガラケー」併用率も最高7.4%

全年齢階層でスマホが多数派

欧米からは遅れる形となったものの、日本でも従来型携帯電話からスマートフォンへと携帯電話内のシフトが進み、そろそろ一定率の割合で落ち着きそうな雰囲気ではある。スマートフォンに利用機種が移行されるもっとも大きな理由は、インターネットへのアクセス機能のケタ違いの向上ぶりにあるわけだが、それでは現時点において、携帯電話を用いたインターネット利用状況はどのようなパワーバランスにあるのだろうか。総務省が2021年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の報告書・公開データを基に、その実情を確認する。

次以降に示すのは、該当利用端末を「携帯電話(従来型携帯電話(PHS含む)以外にスマートフォンを含み、タブレット型端末は含まない)」に限定したインターネットの利用率。また各値は全体比(未回答者除く)における値。例えば「全体の従来型携帯電話のみの値は5.2%」と出ているので、調査対象母集団全体の5.2%が、過去1年間においては従来型携帯電話のみでインターネットを利用した経験があることになる。

若年層におけるスマートフォンの浸透ぶりが目にとまる。13~19歳では従来型携帯電話と併用している人も合わせると81.3%。そして20代になると従来型携帯電話からの乗り換えをしている人も合わせ、9割を超える。従来型携帯電話のみの利用者は2.6%でしかない。

30代以降は従来型携帯電話との併用も合わせ徐々にスマートフォンのネット利用者は減り、70代になると4割を切る。しかし80歳以上でも従来型携帯電話よりもスマートフォンの利用率の方が上で、両者の転換点は無い。つまり全年齢階層において「携帯電話によるインターネット利用」は「スマートフォン」経由メインであって「従来型携帯電話」経由メインではない。2019年までは80歳以上が「従来型携帯電話」経由メインだったのだが、2020年では全年齢階層で「スマートフォン」経由メインとなった。

世帯年収別では?

続いて世帯年収別利用率。これは大方の予想通り、おおよそだが世帯年収が高くなるほど携帯電話によるインターネット利用率は高いものとなる。

一般的には従来型携帯電話よりスマートフォンの方がランニングコストは大きい。昨今、スマートフォンに近い機能を持ち、従来型携帯電話に近い料金プランを活用できる「ガラホ」や、仮想移動体通信事業者(MVNO)によって提供されるSIMカードを白ロム端末やSIMロックフリー端末に用いてスマートフォンとして使用することでコスト軽減を図る「格安スマホ」に注目が集まっているのも、ランニングコストによるもの。低世帯年収の方がやりくりが厳しくなるため、スマートフォンまで手が出せない状況が確認できる。

世帯年収が一定ラインに達すると、スマートフォン「のみ」の所有率はさほど変化が無くなる。いわば天井状態。直近に限れば、世帯年収による携帯電話の利用率において、600万円以上はほぼ同率となる。600万円未満の世帯における低迷こそが、携帯電話経由での情報格差の問題、そして解消すべきポイントといえよう。

世帯構成では特徴的な実情が

最後に世帯構成別。回答者の所属する世帯の構成別で、利用率にどのような変化が生じるかを見たものだ。なお高齢者は65歳以上を意味する。

単身世帯(非高齢者)では金銭的にも余裕があり、自分で操作技術を習得できる場合も多く、モバイル端末によるインターネット利用率全体も、さらにはスマートフォン利用率も高い。一方高齢者のみの世帯では、操作などを教えてもらえる機会も少なく、また自分の日常生活で携帯電話を利用する限りにおいては従来型携帯電話で満足していることもあり、スマートフォンの利用はさほど多くはない。

携帯電話によるネット利用率 最も高い30代は「スマホとガラケー」併用率も最高7.4%

ところが同じ高齢者でも、二世代にわたる世帯の構成員となると、高齢世帯(高齢者のみ)と比べてスマートフォンによる利用率がそれなりに高い値を示すようになる。回答者本人が高齢者でも、子供などに教えてもらえる機会があり得るため、技術的ハードルを超えやすいものと考えられる。

昨今ではスマートフォンと従来型携帯電話の中間的な立ち位置の「ガラホ」や「格安スマホ」がスマートフォンの代替的な立場として注目を集めている。特に後者は実質的にはスマートフォンと同じため、統計ではスマートフォンとしてカウントされることも多い。今後大きな伸びしろが期待できるのは、低コストを望む層に受け入れられやすい、「格安スマホ」と考えてもよいだろう。各スマートフォン関連の値の上昇にも、小さからぬ貢献を果たすだろう。

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※通信利用動向調査

2020年分は2020年9月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7345世帯(4万4035人)、2223企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。