【超入門】仮想空間メタバースをゼロから理解する
Facebookが改名しMetaになってから、メタバースという言葉を2021年後半からよく聞くようになりました。
コロナ禍以降、世界中でリモートの遠隔コミュニケーションが当たり前となったことで、ビデオコミュニケーションの進化形としてGAFAを代表するビッグテックがメタバースへの参入を発表しています。
映画の世界でよく見られるメタバースに近しいものは、日本映画では「サマーウォーズ」や「竜とそばかすの姫」、「ソードアート・オンライン」などでしょうか。海外映画だと言わずもがなマトリックスがあげられます。映画の架空の世界だったメタバースがいよいよ現実世界にも浸透をはじめるのが、2022年なのかもしれません。
今後ブームを起こしそうなメタバースですが、最新の言葉というわけではなく、概念としては古いものというのは意外としられていません。
世界が目指すメタバースとはどういったものなのか、知らないよりも知っていたほうがいい「基礎知識としてのメタバース」情報をまとめました。
メタバースとは
VRとメタバースの違い
メタバースが盛り上がってきた背景
メタバースの具体例
メタバースのまとめ
メタバースとは
メタバースとは、インターネット上の仮想空間のことを指す意味で使われることが多く、その仮想空間でユーザー同士がコミュニケーションを取ることができるのが特徴です。
メタバースは造語で、メタ(超える)とユニバース(宇宙)を組み合わせたものとされていて、1992年に発表されたSF小説「スノウ・クラッシュ」で、リアルな3D建築物と、仮想環境で出会う実物大のアバターを取り上げ、メタバースという言葉を作ったといわれています。
現在メタバースと呼ばれるものには、任天堂の「あつまれどうぶつの森」やEpic Gamesの「フォートナイト」、マイクロソフトの「マインクラフト」といったゲームや、Metaが開発したOculus Questで体験できるHorizon Workrooms、Mesh for Microsoft Teamsビジネスに使えるメタバースの2つに分類されます。
VRとメタバースの違い
VRデバイスのOculus Questで体験できるHorizon Workroomsはメタバースだと紹介しましたが、メタバースとVRは混同しがちな要素です。ただ、こう考えるとわかりやすいですよ。MetaのHorizon Workroomsを例に取ってみましょう。
Horizon Workroomsがソフトウェアで作られたメタバース空間で、それを体験するために必要なハードウェアがVRデバイスのOculus Questです。Metaとかメタバースとかいろいろ単語が混ざってしまっていますが、簡単にいうとハードとソフトの違いなだけです。
メタバースは、VR技術などを活用して作られる仮想世界というわけですね。
メタバースが注目されてきた背景
2022年はメタバース、メタバースって耳にタコができるほど聞くことになるかもしれません(そうはならないこともありますが……)が、メタバースって一体何がすごいんでしょうか。
30代以降の年齢の方には、セカンドライフ(今もサービスやってる!)がはやすぎたメタバースとして認知されているかもしれません。オンラインゲームのFF14だって絶賛稼働中のメタバースともいえます。
昨今メタバースが注目されるようになってきたのは、新型コロナの影響が長期化し、世界中の人々の移動が制限され、オンラインコミュニケーションが当たり前になったことから、ビデオ通話・ビデオ会議のコミュニケーションが主流になりつつあることがあげられます。
PS4・PS5、Nintendo Switchなどのオンラインゲームを通じてマイクで通話するのが普通のことになっていましたし、ビジネス・娯楽のどちらともオンラインコミュニケーションは必須という環境ができていました。
メタバースは、ビデオ通話や音声通話だけでなく、仮想空間の世界をコミュニケーションの場所とすることで、よりバーチャル空間をリアルに感じられるようになります。
インターネットのコミュニケーションをさらに加速させるのがメタバースといえます。
メタバースの具体例
Meta 「Horizon Workrooms」
VR空間で人が集まって仕事ができるHorizon Workroomsは、VR空間に最大16人の人が集まれるスペースです。作られるバーチャルルームはレイアウトを自由に変えることができ、コントローラーを利用しながらホワイトボードを使ったディスカッションやプレゼンなど仕事で使える環境をバーチャルで構築可能です。
Horizon Workroomsでの打ち合わせは、ビデオ会議よりもリアルな時間になるといいます。Zoomと統合されたことで、VRヘッドセットがなくてもビデオ通話でバーチャルルームへ参加可能なことから、体験することのハードルは低いといえそうです。
Microsoft「Mesh for Microsoft Teams」
マイクロソフトのメタバース空間はリモートコラボレーションツールTeamsを拡張したMesh for Microsoft Teamsです。
Mesh for Microsoft Teamsは、MRプラットフォーム「Microsoft Mesh」をTeamsに拡張したもので、メタバース仮想空間でのコラボレーションやホログラフィックを共有する体験が可能です。マイクロソフトはMesh for Microsoft Teamsを「メタバースの入口」と表現しているくらい気合いが入っています。
マイクロソフトは以前からMixed Reality(MR)領域へ力を入れていましたし、それがメタバースプロダクトとして形となったといえそうです。「Mesh for Microsoft Teams」はまだリリースされておらず、提供開始は2022年を予定されています。
技術的な解説は、Qiitaに投稿されているマイクロソフトカスタマーサクセスマネージャー岩田さんの投稿が参考になります。
Epic Games「フォートナイト」
Epic Gamesがリリースしているフォートナイトは世界中で人気のバトロワゲーム。
……というのは過去のもので、現在ではバトロワで戦うだけでなく、かくれんぼやアスレチックといったモードでコミュニケーションを取るだけの遊び方が増えてきています。
2020年にはアリアナ・グランデや米津玄師のライブがフォートナイト上で開催され、2021年には星野源が出演したバーチャル音楽イベントのサウンドウェーブが開始。ゲームだけではなく、メタバース空間としてのサービス展開を見せていることから、メタバースの本命ともいわれます。
フォートナイトは無料ですぐにプレイできるので、一度ダウンロードして試してみるのがおすすめです。
Linden Lab「セカンドライフ」
Linden Labが展開するセカンドライフは、仮想空間のパイオニアとして立ち上げられたメタバースで、今回紹介するサービスの中ではもっとも古いものです。
メタバースのはしりとなったセカンドライフでできることは、仮想空間のアバターを身につけ、クラブでおどったり、デジタル不動産を購入するなど、仮想世界を生きるという意味合いが強いもの。
仮想経済を強化するために、2019年には送金業者のTiliaと提携を発表。2022年現在も稼働しています。18年前に運営が開始されたセカンドライフが、今となって日の目を浴びるようになるとは思いもしませんでしたね。
The Sandbox
メタバースとブロックチェーンが組み合わさったThe Sandboxは、NFTを活用したゲームです。
仮想空間の中でキャラクターを操作して遊べるようになっており、マインクラフトのように何をするのにも自由なのが特徴です。そして、The Sandbox内で作成したキャラクターやアイテムは、NFTとして仮想通貨で売買することができます。
ゲーム内のデジタル不動産LANDを購入しなければThe Sandboxを遊べませんが、限られた数のLANDを貸し出すことでデジタル不動産収入を得ることができるなど、ブロックチェーン・NFTの特徴を活かしています。直近では、韓国企業のサムスンが出資しており、将来が楽しみなメタバースのNFTゲームです。
バーチャル渋谷
auと渋谷区が共同で立ち上げたデジタル都市構想のもとでつくられた、デジタル空間上で展開される「もう一つの渋谷」がバーチャル渋谷です。
渋谷のスクランブル交差点を中心に仮想空間が用意されており、「バーチャル原宿」へ移動が可能です。
同時にログインしている他者とのコミュニケーションが可能で、ゲーム感覚で渋谷近辺を仮想空間で体験できます。
メタバースのまとめ
仕事、ゲーム、仮想空間を生きるメタバースなど、様々な形で仮想空間が作られていっています。
日本では渋谷をバーチャル空間で再現した「バーチャル渋谷」を展開するなど、2022年はメタバース元年となりそうな勢いを感じます。
リアルが充実していたらバーチャル空間で過ごす必要はないような気もしますが、一つのトレンドとしてメタバースを一度体験してみると、抜け出せなくなるかもしれません。