【RECEPTIONIST CEO・橋本真里子1】「受付嬢」から起業家に転身。クラウド受付システム開発し5000社導入
撮影:今村拓馬
約束の時間に大企業を訪ねると、受付前に長蛇の列ができ、受付嬢が内線電話で担当者との取り次ぎに追われている……。コロナ禍で商談の多くがオンラインに置き換わったものの、いまだに時折、こうした場面に遭遇することがある。【全画像をみる】【RECEPTIONIST CEO・橋本真里子1】「受付嬢」から起業家に転身。クラウド受付システム開発し5000社導入一方で、タブレットPCを使った受付システムもしばしば目にするようになった。訪問先を指定すると担当者に通知され、受付ゲートを通過するための入館証が発行されることもある。
「成長率が並外れて高い」起業家
橋本真里子(40)が2016年に創業したRECEPTIONIST(レセプショニスト 、東京都渋谷区)は、橋本が「受付嬢」として11年間務めた経験を基に、受付システムを開発した。マネジメントの経験もテクノロジーの知識も、資金力もない橋本が、ゼロからシステムを開発し、会社設立わずか7年目で約5000社が導入するまでになった。同社に投資するベンチャーキャピタル(VC)「ABBALab inc.」の代表であり、社外取締役でもある小笠原治(50)は、橋本について「成長率が並外れて高い」と評する。「彼女は受付業務の現場で感じた不便さや無駄を製品として世に送り出すことで起業家へと転じ、人が人にしかできない仕事に集中できるようにした。取締役会の様子を見ていても、毎回、周囲のフィードバックを吸収して成長しています」「受付嬢」という職業は「若さと容姿が勝負」という世間のイメージがいまだに強い。橋本自身、周囲から「受付嬢ってみんな役員の愛人なの?」「結婚相手を探すのが目的でしょ」といった言葉を聞かされてきた。受付スタッフを「派遣」と見下す社員もいた。客の前ではペコペコお辞儀をしていた社員が、相手が帰ったとたん橋本の目の前で声高に悪口を言い始め、「私たちは空気と一緒だ」と思ったこともある。橋本の歩んできた道のりには、従来の「受付嬢」のイメージを覆す力がある。手書きの受付票記入に内線電話での取り次ぎという、人が担っていた受付の仕事をシステムに置き換える「パラダイムシフト」を起こしたからだ。