「Rakuten Hand 5G」レビュー - 無料通話やテザリング、2台持ちに向く小型スマホ
「Rakuten Hand 5G」。画面サイズ5.1インチ、幅63mmと持ちやすいサイズ
楽天モバイルのオリジナルスマホ「Rakuten Hand 5G」が2月14日に発売されました。手に馴染むコンパクトサイズが特徴の新機種をさっそく使ってみました。【写真】夜景撮影でAI補正ON/OFFを比較すると、はっきりとした“映える”写真への変化がわかるフィーチャーフォン時代と比べるとキャリアごとに個性的な独自端末をラインアップすることは減るなか、楽天モバイルはこれまでに5機種のオリジナルスマホを発売しています。3.6インチの超小型スマホ「Rakuten Mini」に始まり、対照的な6.4インチの大画面を持つ「Rakuten BIG s」など、いずれもサイズに特徴がありました。今回登場したRakuten Hand 5Gは、2020年12月に発売された4Gスマートフォン「Rakuten Hand」の片手でも扱いやすい大きさを保ちながら、5G対応やストレージの増強、カメラや防水性能の強化を図ったモデルです。価格は39,800円ですが、発売時から最大24,000円相当のポイント還元が行われており、楽天モバイルをはじめて利用する方なら実質15,800円の負担で購入できます。国内5Gスマホ最小、幅63mmのスリムボディ箱を開けてみて驚きましたが、最近の6インチ前後のスマートフォンを見慣れた目には数値から想像していた以上に小さく見えます。コンパクトモデルの評価基準は画面サイズや重さなどいくつか考えられますが、本体の幅を基準にした場合、幅63mmのRakuten Hand 5Gは日本国内で買える5Gスマホでは最小とのこと。片手で握って操作するシーンを考えると、「小ささ」の指標の中でもこの本体の幅は重要。iPhone 12 miniやiPhone 13 mini(約5.4インチ/幅64.2mm)や、画面サイズだけでいえばもっと小さいBALMUDA Phone(約4.9インチ/幅69mm)よりもスリムなのです。実際に手に取ってみると、数値上もわかる幅の狭さに加えて、前面と背面の端が少しカーブしており、両サイドが細く絞り込まれた形状になっているので、よりいっそう手になじみます。Rakuten Hand 5Gの画面サイズは約5.1インチ。Rakuten Miniほど極端に小さいというわけではなく、普通のスマートフォンとして不自由なく使える範囲で小型化されており、使い手を選ばず扱いやすいサイズです。外箱を見ると、製造元はTinno Mobile。受託製造に特化したメーカーで、数年前には自社ブランド「Wiko」のSIMフリースマートフォンを日本でも展開していました。楽天モバイルのオリジナルスマホでは、Rakuten MiniとRakuten Hand(4G版)も同社製です。4G版「Rakuten Hand」との違い新たに対応したデュアルeSIMは、まだiPhone 13シリーズ程度しか対応していない先進的な機能です。通常のeSIM対応機は複数のeSIMプロファイルを保存しておけますが、有効にできるのは1回線だけ。デュアルeSIM対応機なら2回線同時待受ができ、仕事とプライベートの番号を1台で使い分けるなどの使い方ができます。なお、Rakuten Hand 5Gの対応バンドは、4Gについてはプラチナバンドを含む他社の主要バンドを一通りカバーしています。5Gはn77のみですが、楽天モバイルを主に使いつつVoLTEで他社回線の同時待受をするには十分な仕様でしょう。外観は4G版とほぼ変わらず、ホワイト/ブラックのフレーム部分が金属風のメッキ塗装から背面と同じ色に変わった程度。イヤホンジャックが廃止された点でも見分けられます。細かい点ですが、背面のFeliCaロゴを見ると、前モデルではほぼ中央にあったFeliCaアンテナがやや上方に移動しているようです。画面操作をしてから持ち替えずに決済端末をかざせるという点では、少しおサイフケータイを使いやすくなりました。カメラの写りはどう?Rakuten Hand 5Gは約6,400万画素+約200万画素のデュアルカメラを搭載しています。約200万画素のサブカメラは背景ぼかし機能などのための深度センサーとして使われており、画角の切り替えはデジタルズームのみとなります。AI補正を無効にした状態ではくせの少ない写りで、記録用としては十分使える画質です。屋内ではやや暗めに映る傾向がみられましたが、タッチフォーカスでピントを合わせた後に明るさを補正できるスライダーが現れるので、ちょっと明るめに手直ししてから撮るようにすると見栄えがより良くなるでしょう。夜景の場面でAI補正のON/OFFによる違いを比べてみると、SNSなどで好まれる“映える”写真にはっきりと変化する印象でした。補正をかけると色味が濃くなったり、暖色系の明かりが強調されたりといった違いが見られます。シンプルながら楽天づくしのソフトウェア他の楽天オリジナルスマホと同じように、UIの独自カスタマイズは控えめで素のAndroidに近い作りです。ただしプリインストールアプリは豊富で、楽天市場、楽天Edy、楽天ペイなど、多くの楽天サービスがずらりとホーム画面に並びます。「こんなにいろんなサービスをやっていたんだ」と圧倒されてしまうほどで、いわゆる“楽天経済圏”のサービスを使い込んでポイントをしっかり貯めたい人には新しい発見もありそうです。独自アプリのなかでも、注目しておきたいのは「Rakuten Browser」。楽天モバイルが提供している独自のWebブラウザで、他のAndroidスマートフォンでもPlayストアからダウンロードできます。現時点ではベータ版という扱いになっており、ごく普通の軽量ブラウザという雰囲気。楽天らしさを感じる部分といえば、検索エンジンを「楽天ウェブ検索」に変更できるぐらいでしょうか。ストアの説明文によれば「将来的には本アプリを利用することで楽天ポイントが獲得できるサービスや、様々な楽天グループのサービスと連携した利便性の高い機能を提供する予定」とのこと。近い将来、楽天ユーザー必携のアプリになるかもしれません。Rakuten UN-LIMIT VIの安さを活かした「2台持ち」に最適か小型のスマートフォンというと、過度にコンテンツに浸かりすぎない、使いすぎないデジタルデトックス向きの端末として提案されることが近年は多い印象です。しかしRakuten Hand 5Gを使ってみると、楽天モバイルならではの電話かけ放題・データ通信し放題の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」との意外な相性の良さに気付きました。Rakuten UN-LIMIT VIは、通話メインでほぼデータ通信をしない人なら1GBまでは基本料金0円かつ通話無料、動画やゲームなどで大量に通信する人でも上限3,280円と、ライトユーザーにもヘビーユーザーにもメリットのあるプラン。そして、どちらの使い方にもRakuten Hand 5Gのような機種がマッチする部分があります。確かにスマートフォン単体で見れば、5Gの高速通信で動画やゲームなどのエンタメを思う存分楽しみたいという方には大画面の機種が適しているはずです。しかし、スマートフォン+タブレット、スマートフォン+ノートPCといった組み合わせで考えてみると、あえてRakuten Handのようなコンパクトモデルを選ぶメリットも出てきます。フィーチャーフォンからの乗り換えや通話用の2台持ちなど、データ通信よりも「Rakuten Link」で無料通話ができる電話機として使いたい人には、長電話でも持ち疲れにくい細身のボディはよく馴染むでしょう。大容量プランとしての安さからテザリングを多用してノートPCやタブレット端末とセットで使いたい人にとっても、荷物にならず気軽に持ち歩ける絶妙なコンパクトサイズといえます。2台目向きと言ってしまうとニッチな需要のようにも思えますが、楽天モバイルの場合、後発キャリアという事情に月額0円から使える手軽さもあいまって、いきなり他社からMNPで乗り換えるのではなく、まずは新規契約をして様子見で使ってみるというユーザーも少なくありません。キャンペーンによるポイント還元も含めれば実質15,800円と負担も少なく済み、楽天モバイルデビューのお試し用としてはぴったりの機種ではないでしょうか。
細田頌翔