海外モバイルトピックス(302) iPhoneより安い「Find N」登場で2022年は「折り畳みスマホ元年」になる | マイナビニュース マイナビニュース マイナビ
OPPOの折り畳みスマートフォン「Find N」
Find Nは中国で発売になり、価格は7,699元、約13万7,000円からです。10万円を超える価格ですが、同じ中国では「iPhone 13 Pro」の256GBモデルが7,999元、約14万3,000円です。Find NはiPhoneと同じ価格帯で買える折り畳みスマートフォンなのです。
なおFind Nと同様に横に開く折り畳みスマートフォンの価格は、ファーウェイ「Mate X2」が1万7,999元、約32万1,000円。サムスン「Galaxy Z Fold3 5G」が1万4,999元、約26万7,000円。そしてシャオミの「Mi MIX Fold」が9,999元、約17万8,000円です。それぞれ機能が異なるとはいえ、Find Nはコスパが売りのシャオミの折り畳みスマートフォンよりも価格が安いのです。
折り畳みスマートフォンは「必要か、必要ではないか」以前に価格が高いこともあって普及が遅れています。サムスンが2019年に発売した最初のモデル「Galaxy Fold」はアメリカで2,000ドルを下回る1,980ドルで登場しました。日本でも24万5,520円で発売になりましたが、スマートフォンどころか安いノートパソコンよりも高い価格ということもあって、一般消費者向けの製品ではありませんでした。その後サムスンは2021年発売のGalaxy Z Fold3 5Gを1,799ドルと200ドル値下げしましたが、価格が高いことに変わりはありません。
Find Nの発表会での価格発表時、まずは「1XXXX元」と1万中国元台の価格が提示され、折り畳みはやはりそれなりに高いのだなと思わせました。ところがすぐに「XXXX元」と4桁台、1万元を切る価格が提示され発表会会場は大きくざわついたのです。そしてそのあとに7,699元の正式価格が表示されるや、会場は興奮と歓喜の渦につつまれました。
ちなみに発表直後にOPPO中国のオンラインストアにアクセスしてみたところ、Find Nは一瞬で完売していました。閉じた状態では普通のスマートフォンと同じ画面比率の5.49インチのディスプレイが使え、開くと現れる7.1インチの大画面にはヒンジ部分に折り目もありません。カメラは5,000万画素+1,300万画素望遠+1,600万画素超広角、フロントは3,200万画素を搭載とスペックも十分。普通に他社のハイエンドモデルと変わらない価格で買えるとなればFind Nが一気に注目製品になることもうなずけます。
さてFind Nの海外展開は現時点では明らかにされていません。海外展開で問題になるのはアフターサービスで、折り畳みディスプレイは一般的なディスプレイより破損や傷に弱いことを考えると、販売国は大きく広げることは難しそうです。また価格が高いこともあり、OPPOが比較的強い東南アジアなどでは購入者数が限られるでしょう。そうであればヨーロッパや日本など、一定の認知度があり高価格なモデルを購入する層がいる地域での展開が向いているかもしれません。
折り畳みスマートフォンは中国以外ではほぼサムスンの製品一択という状況になっていることもあり、OPPOが先進国にFind Nを投入すれば競合相手として目立った製品になるでしょう。サムスンの次の横折り式スマートフォン「Galaxy Z Fold4」(仮称)が出てくるのは2022年の夏ですから、その前にFind Nを出してくる可能性もありうります。
Find NとGalaxy Z Fold3 5Gを比べると、Galaxy Z Fold3 5Gはペン入力に対応しています。とはいえペンを使わない人にはこの性能差は気にならないでしょう。実用上での大きな違いは防水への対応で、GalaxyはIPX8の防水に対応、Find Nは非対応です。
最近のスマートフォンはバッテリーカバーも外せず本体に隙間が少ないことから、防水非対応の製品でも飛沫がかかる程度であれば水が浸透する恐れも少な目です。しかし折り畳みディスプレイはヒンジ部分から水が混入する恐れは高く、防水非対応の製品を屋外で使用中に小雨でも降ってきたらすぐさま畳んでポケットにしまったほうが安全です。Find Nは価格で大きなアドバンテージがあるものの、防水非対応の面でやや不安はあります。
とはいえiPhoneと変わらぬ値段で買える折り畳みスマートフォンが登場したことにより、次にスマートフォンを買い替える時に「そろそろ折り畳みを買ってみようか」と思う人も出てくるでしょう。またシャオミなどが次の折り畳みスマートフォンを出すときはFind Nより安い価格で出すでしょうから、価格下落が一気に進む可能性があります。2022年はようやく「折り畳みスマホ元年」になるのかもしれません。