日産「ノート」「ノート オーラ」の2WDと4WDの違いとは? 氷上で確かめた
FFよりもライントレース性が高く、安全マージンはかなり高い
いよいよ氷上での試乗が始まる。FFではスタートで不用意にアクセルを踏むとトラクションコントロールが作動しっぱなしで思うように速度が乗らない。
しかし4WDでは前後モーターが効率よくトルク配分を行ない加速していく。やはり駆動力制御が入りアクセルコントロールは必要だが、このような極低ミュー路でも高い実力を発揮する。
ノート オーラ 4WDの出力はフロントモーター300Nm、リアモーター100Nmのトルクがある。前後輪同時にピークパワーを出すことはできないが、常に最適値のトルクを配分する。これがアイスバーンでも直進性に活かされ容易に加速する。
4WDのノート オーラ G FOUR(286万8800円)一方、アクセルOFFで回生ブレーキを積極的に使うSPORTモードかECOモードではワンペダルで安定した姿勢で減速できる。日常的に雪道を走るケースが多いドライバーには、このモードは有効ではないかと感じた。
ではフットブレーキはといえば、今回のような油氷でもABSを効かせながら短く止まれる。ただ、コーナリング中のブレーキはタイヤの縦方向と横方向のグリップをすぐに使い果たしてしまうので、すぐにアウト側にはらんでしまう。
電動4WDの特徴が最も現れたのは円旋回だ。1本のパイロンを旋回するコースではFFではなす術がなく、タイヤのグリップ限界以内に速度を落とすしかない。
ところが4WDでは前後の駆動力配分を状況に応じてコントロールするので、フロントノーズをインに入れやすくなる。さらに一瞬のタイミングを逃さず、後輪の駆動力を前輪に合わせるように配分されるので、弱いテールアウトの姿勢になり、一定舵角でアクセルコントロールのみでグルリとまわることができる。
2WDのノート オーラ G leather edition(269万9400円)例えばFRでは繊細なアクセルワークをしてもいったんグリップを失った後輪を立て直すのは難しく、スタンバイ4WDも姿勢を安定させてグルリと旋回させるのも難しい。前後モーターの駆動力を必要に応じてシームレスに配分することできるe-POWERの4WDならではの姿勢安定性だ。円旋回ではフロントがインを向き始めたら躊躇なくアクセルを踏むことがポイントだ。リアモーターの出力はフロントモーターよりも小さいので、スピン状態に入ることはまずない。円旋回中、発電用エンジンはまわりっぱなしで前後モーターに電力を供給するのに忙しい。
実は先代ノートの後期型にも4WD仕様があったが、後輪モーターの出力が小さく、新型ノートの4WDのように積極的に後輪を使うにはパワー不足だった。言ってみればスタンバイ4WD的なポジションだ。
各コースの走行イメージ(3分1秒)