より高速で安全なネット環境を実現! NECのWi-Fi 6ルーター「Aterm」の新モデルは何が違う?(1/4 ページ)
突然だが、皆さんは自宅のWi-Fi(無線LAN)環境に不満を抱いたことはないだろうか?
ここ数年、働き方改革や社会情勢の変化を受けて「在宅勤務」制度を整備する企業が増えている。そして各種学校や学習塾でも「リモート授業」を導入する動きが広がっている。自宅に居ながらにして仕事や学習をこなせるようになった反面、それを支えるホームネットワークのパフォーマンスが仕事や学習の効率に直結するようになった。合わせて、公私の通信が混在することによるセキュリティリスクへの対応も欠かせない。
そこで「新生活に向けてWi-Fiルーターを新たに買いたい」「古くなったWi-Fiルーターを新調したい」と考える人もいるだろう。多くの場合、まず販売価格に目が行ってしまいがちだが、それだけでなくパフォーマンスやセキュリティに関わる仕様も念入りにチェックすべきである。“ピンからキリまで”あるWi-Fiルーターだからこそ、買い手自身が製品仕様の差分を見極めなくてはならない。
「どんなWi-Fiルーターがいいのか?」と迷っている人にお勧めしたい選択肢の1つが、NECプラットフォームズのWi-Fiルーター「Aterm(エーターム)シリーズ」である。この記事では、ハイスペックモデルの「Aterm WX5400HP」を中心に、2月10日に発売された3つの新モデルの魅力をチェックしていく。より良いWi-Fiルーター選びの参考になれば幸いだ。
2月10日に発売された「Aterm WX5400HP」は、ハイスペックながらもスタイリッシュなボディーが魅力だミドルレンジモデルの「Aterm WX3000HP2」(左)とエントリーモデル「Aterm WX1500HP」(右)も同時に登場する家族全員が安定して通信できる「Wi-Fi 6」に対応
Wi-Fiルーターを今購入するならば、将来のことを見越して最新規格の「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」に対応するものを選ぶことを強く推奨したい。今回発売されたAtermの新モデルは、いずれもWi-Fi 6対応である。
Wi-Fi 6のメリットは、大きく2つある。1つは最大通信速度の向上にある。これは、無線通信する際に使う帯域(=電波が通る道路)をより広く確保したことと、電波の変調方式(=データと電波の変換方法)を変更したことで実現したものだ。
実際の最大通信速度(理論値)は機器の備えるアンテナの数や電波の帯域幅によって異なるが、Atermの新製品では以下の通りとなっている。
(※1)WX1500HPは5GHz帯のみWi-Fi 6対応。2.4GHz帯はWi-Fi 4(IEEE 802.11n)まで対応(2×2アンテナ、40MHz幅、最大300Mbps)
Wi-Fi 6の速度向上は、特に5GHz帯において効果が大きい。Wi-Fi 6に対応するPC、スマートフォンやタブレットは、ほぼ例外なく5GHz帯と2.4GHz帯での通信に対応している。 そのこともあり、Atermの新製品では5GHz帯における速度向上を重視することで「パフォーマンスアップ」と「手頃な価格」の両立を図ったことが特徴だ。
WX5400HPとWX3000HP2では、5GHz帯の帯域幅を従来の2倍に当たる最大160MHzまで確保できる。これにより、通信速度の向上と混雑の改善を図っている。WX1500HPについても、電波の変調方式変更で最大通信速度が向上しているもう1つのメリットは、たくさんのWi-Fi機器がある場所や電波の弱い場所での通信品質の向上である。
IEEE 802.11a/g以降の無線LAN規格では、「OFDM(直交周波数分割多重方式)」と呼ばれる通信方法を採用してきた。この方式は1つの電波のチャンネルを1つの端末が“専有”するようになっており、複数の端末が同じチャンネルに接続している場合は交代しながら通信を行う。つまり接続台数が多くなるほど実効通信速度が低下するという問題点がある。
それに対して、Wi-Fi 6では複数の機器が同時に通信を行える「OFDMA(直交周波数分割多元接続)」という通信方法を採用している。自宅の機器が全てWi-Fi 6に対応していることが前提にはなるが、機器の台数が増えても実効通信速度が低下を抑えられるようになる。家族が同時にWeb会議システムにアクセスして画質が落ちたり、映像がカクカクになったりといったことを抑制しやすくなる。
OFDMAを複数のアンテナを使って同時通信を行う技術「MU-MIMO」と組み合わせると、多くのWi-Fi機器がある環境での通信パフォーマンスが一層改善する(※2)。もちろん、今回のAtermの新製品ではWi-Fi 6におけるMU-MIMOに対応している。
(※2)MU-MIMOを利用する場合は、接続する機器側でも対応が必要です。Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)では、下り通信(機器へのデータ送信)時のみMU-MIMOを利用できます
なお、Wi-Fi 6の恩恵を享受するには、接続する機器もWi-Fi 6をサポートする必要がある。とはいえ、ノートPC、スマートフォンやタブレットではハイエンドモデルを中心にWi-Fi 6対応が進んでいる。低価格帯のデバイスも含め、今後も対応製品は増え続ける。自宅に1台でもWi-Fi 6対応デバイスがある場合、あるいはこれから対応デバイスを購入する予定があるなら、Wi-Fi 6ルーターを導入する価値は十分にある。
Wi-Fi 6では「OFDMA」という通信方式を採用することで、同時に複数機器が同時に通信した際の実効通信速度が向上しているほぼ全てのISPと組み合わせ可能! 公私の通信を分離する機能もあり1|2|3|4次のページへ