“強固なセキュリティとサウンド機能”でWindows 11時代のPCを切り開く日本HP(1/2 ページ)
緊急事態宣言やまん延防止措置を潜り抜けて人々の意識が変わり、働き方のトレンドが「ハイブリッドワーク」へとシフトしつつある。在宅とオフィス、カフェやサテライトオフィス、あるときは取引先企業など、タスクによって働く場所が日々変わるスタイルだ。
それに伴い、どのような場所でも高い生産性を維持しつつ、情報漏えいを防ぐ高いエンドポイントセキュリティの必要性が改めてクローズアップされている。Microsoftからリリースされた新OS「 Windows 11 」は、まさにそのニーズに応えるものだ。
ハイブリッドワークが中心となるビジネスシーンでPCに求められる要素とは――? 日本HPの松本英樹氏にお話を伺った。
日本HP クライアントソリューション本部 ビジネス開発部 マネージャーの松本英樹氏もう元の働き方には戻らない! オフィスの役割が変わる
―― 2020年以降、PCに求められる要素が大きく変化し、日々刻々と変わりつつあります。
松本氏 社会の変化は当社も強く実感しています。グローバルで実施した独自調査では、多数の経営者が元の働き方に戻ることはなく、ハイブリッドワークへの移行、オフィスの役割が変化していくだろうと回答されています。
実は当社自身が象徴的な事例で、2021年の11月に日本法人の本社を品川(東京都港区港南)に移転しましたが、フロアの面積は半分に縮小しており、全員が一斉に出社すると席が足りません。オフィスは毎日働く場所ではなく、帰属意識を高め、コラボレーションを効率的に行うための場所と位置付けています。
大きく変化した働き方の中、特にニーズが高まってきたのが、ビデオ会議に関する要素です。製品ラインアップとしては、ビデオ会議向けの据え置き型のPCやビデオ会議専用のディスプレイなどを増やしています。
HPの独自調査では、多くの企業が元の働き方には戻らないと回答しているビデオ会議ではサウンド機能がますます重要に
―― そのような流れを受けて、御社のPCに求められる要素は変わりましたか。特に要望が多かったポイントがあれば教えてください。
松本氏 当社は、コロナ禍の前から「メガトレンド」という世界的な長期トレンドを重視した経営戦略を推進しており、リモートワーカーの数がオフィスワーカーを超えるという未来予測に基づいた製品開発を行っておりました。
例えば、サウンド周り、Webカメラの性能、セキュリティやプライバシーなどはリモートワーク全盛となった今、多くの企業やパートナーからの問い合わせが増えていますが、コロナ禍の前まではあまり重視されてこなかった要素です。そういう意味では来るべき未来が数年早まり、PCに求められる要素も大きく変化した印象があります。
―― 企業の規模を問わず、オフィスの縮小やフリーアドレス化、サードプレイスの利用が進んでいます。そのような環境下で、御社のPCのお勧めできるポイントを教えてください。
松本氏 オフィスの縮小やフリーアドレス化は、まさに当社が実践していることですが、ビデオ会議におけるサウンド機能はアピールポイントになると思います。当社のラインアップには、ディスプレイ背面を含め、マイクを4つ搭載したモデルがあります。これは特に複数人で会議に参加する時に大きなメリットがあります。ハウリングを抑えたり、PCの前にいる人と後ろにいる人の声を均一化してくれたりする他、細かい調整も可能で、スムーズにビデオ会議を行えます。
また、特にカフェやサテライトオフィスで働く方が急増したことから、画面の左右からのぞき見を防止するプライバシーフィルター、ボタン1つでWebカメラをオフにできる機能などは好評をいただいています。
AIを活用したノイズ除去機能も業界に先駆けて導入しています。例えば、在宅勤務の際に隣の部屋で遊ぶ子供の声や周囲の雑音なども相手側には聞こえないようにできます。こういったサウンドに関する機能を1つのユーティリティーにまとめて、ワンストップでアクセスできるようにしているのもポイントです。
サウンド面では、音量と音質にもこだわっています。音響機器では良い音を出すために重りを入れる製品もあるように、本質的に薄型軽量のノートPCで良い音を出すというのは難しいところではありますが、高級オーディオ/ビジュアルブランドの「Bang & Olufsen」との共同開発により、制約のある中でも良い音質、音量を出せるようにしています。
日本HPのPCでは、ノイズキャンセリング、ハウリング抑制などビデオ会議をスムーズにする機能を搭載する。1つのユーティリティーから、ワンストップで全ての機能にアクセスできるので便利だ―― 新しいOSの Windows 11 がリリースされました。Windows 11 に対する期待や思いがあれば教えてください。
松本氏 Windows 11 は、開発者と一般ユーザーの2つの視点で期待しています。一般的な視点からいいますと、音声入力をテキストデータに変換する際の精度の高さが挙げられます。AIによる学習効果は利用者が増えれば増えるほど高まっていくわけですが、私が2021年12月に試した時点でも既に実用的な段階に入りつつあると感じました。
例を挙げると、「コロナに感染しないような対策をし、春にはサッカー観戦に行きたい」というような文章も前後の文脈を認識して間違えずに漢字変換することができるようになっていました。また、音声では誰が話したかまですぐ分かりますので、これまでのキーボードやマウス、ペンに加えて音声が加わると、議事録をとるためのスタッフが不要になったり、メールの返信を音声だけで行えたりと、OSをアップグレードするだけで生産性が大きく向上するはずです。
こちらは精度向上まで少し時間がかかるかもしれませんが、自動翻訳にも期待しています。英語が苦手な日本人が海外の方と商談をする際に、リアルタイムで翻訳できるようになれば直接会うよりもむしろビデオ会議の方が有利になります。その点でも、PCの音声認識や音響はますます重要になってきており、サウンドにこだわってきた当社の開発方針の正しさが改めて証明されたと感じています。
松本氏は Windows 11 の注目機能として、OS標準装備の音声入力を挙げる。日本語変換精度も向上しており、生産性を飛躍的に高める要素になるのではないかと期待する―― 開発者側の視点ではいかがでしょうか。
松本氏 開発者側からの視点については、Linuxを動作させやすくなったことが挙げられます。Linuxを動作させる手順が簡素化され、制約も少なくなり、Linux上でもGPUのパワーを活用できるようになったことから、AIなどのプログラム開発も格段にしやすくなりました。当社は国内のワークステーション市場でトップシェアを持っているのですが、DXを目指す企業が急増している今、開発者に向けた新しい活用提案がしやすくなったと感じています。同時に、Microsoft Store の進化も大きいですね。
―― といいますと?
松本氏 一番大きいのは、Microsoft Store で従来のユニバーサルアプリだけでなく、通常のアプリ(x86/x64用)を購入できるようになったことです。前述のLinuxの開発環境を構築するには、WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)というツールが必要なのですが、簡単な手順でインストールすれば、進化したMicrosoft StoreからLinuxの各種ツールも追加で入手できるようになります。また、課金手数料の考え方も非常に柔軟になりました。自社の課金システムを使えば、手数料ゼロでx86/x64アプリを販売できるようになったので、ソフトウェア企業やユーザーにとって朗報です。長年待ち望んでいたことがついに実現され、LinuxやAndroidのようなプラットフォームを超えたアプリの開発が、Windows 11 を起点に活性化されていくと期待しています。
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