いま売れに売れてるChromebookで1週間仕事をしてみた
最近、Chromebook(クロームブック)が話題ですね。なんでもChrome OSがmacOSのシェアを超えているとか。多くは教育機関やビジネス向けとして大量導入されているからだとは思いますが、それにしても普及率がハンパないですね。
さすがにWindowsやmacOSと比べると機能的には物足りないところもあるのでしょうが、比較的安価でサクサク動くノートPCと考えると、かなりいい選択肢です。
そこで、Chromebookでどれだけ仕事ができるのか検証するため、1週間Chromebookだけで仕事をしてみました。
普段の仕事をChromebookだけでやってみる
僕は普段MacBook Airを使って仕事をしています。仕事内容としてはWebの閲覧やメールのチェック、ZoomやGoogle Meetを使ったオンライン会議、Slackでの連絡、テキストエディタを使っての文章入力、RAW画像の現像などなど。1個1個はそれほどヘビーな作業ではありませんが、これらを同時に行なっていることがほとんどです。
このような日常の作業を、Chromebookでちゃんとできるのでしょうか。さっそく使ってみましょう。
なお、今回使用するChromebookはこちらです。
Acer Spin 713
CPU:インテル® Core™ i3-10110U プロセッサー 2.10GHz
メモリ:8GB
ストレージ:128GB eMMC
ディスプレイ:13.5型IPSパネル(2256×1504) 10点マルチタッチ
電源:45W USB Type-C
バッテリー駆動時間:約10時間
重量:約1.37kg
実売価格:8万9800円(Amazon)
初ログインからアプリのインストールなど
まずは初期設定から。といっても簡単です。Chromebookを開いたら普段使っているGoogleアカウントを使ってログインするだけ。すると、Google関連の設定がそのまま引き継がれます。僕はメインブラウザにGoogle Chrome、メールはGmail、予定管理にGoogleカレンダーを使っているので、これらは問題なく使用できます。
ログイン後、Google Chromeを起動。一瞬でウィンドウが開きます。速い。GmailもGoogleカレンダーもGoogle Chromeからそのまま使えます。その他、ギズモードで使用しているCMSへのログインなども、Google Chromeがパスワードを同期してくれているのですんなりログインできます。普段、Google Chromeをメインに使っている人なら、パスワード関係はそれほど苦労しなくても大丈夫ですね。
ということで、まずは仕事ができるようにいろいろセットアップ。まずは連絡手段として使っているSlackを…。と思ったら、Chrome OS用のアプリは用意されていない様子。Chrome OSでは基本的にはWebアプリを使います。SlackもWeb上からそのまま使えるのでそれでいいかなと思いましたが、複数のワークスペースを切り替えて使うことができない…。1ワークスペース、1タブになるのでちょっと面倒です。
しかし、Chrome OSは一部のAndroidアプリがそのまま使えます。Google PlayでSlackのアプリを検索したらChrome OSに対応しているようなのでインストール。無事複数のワークスペースでも使えました。UIはAndroid版ですけど、機能的には充分です。
文章入力はGoogleドキュメントで決まり
僕はライターですので、文章入力が主な作業となります。文章入力は人それぞれスタイルがありますが、僕はテキストエディタを使用しています。愛用しているのはAtomというテキストエディタです。
しかしChrome OSではAtomは動かない様子(Chrome OS上で動かす技もあるようですが難しそう)。また、Atomが使えてもかなりカスタマイズしているので、それを再現するのに時間がかかりそう。ということで、別な文章入力の手段を考えます。
一番簡単なのは、Googleドキュメントですね。仕事でGoogleドキュメントを使って文章のやりとりをすることもあり、比較的馴染みがあるということで、Chrome OSではGoogleドキュメントをメインに使うことにしました。
OneDrive&OneNote使いは少々妥協が必要
いろいろセットアップをしていて、少々困ったことが。それは、Microsoft(マイクロソフト)の各種サービスをどうするかということ。僕は、仕事関係のファイルを全部OneDriveに保存しています。そして、メモアプリとしてOneNoteを使っています。
まずOneDriveについて。こちらはAndroid向けのアプリがあり、Chrome OSのファイルブラウザ上にOneDriveを統合してローカルフォルダのように扱えます。しかし、ファイルブラウザ上のOneDriveから一部の画像ファイルがデコードエラーで見られないという状態に。これでは困るので、Web版のOneDriveを使用することにしました。これなら画像ファイルもきちんと表示されます。
ただ、面倒臭いなと感じたのが、Webページなどからのファイルのダウンロード。どうやらChrome OSでは、ファイルをダウンロードすると必ずローカル(Googleドライブ)に保存されるよう。OneDrive上のフォルダにダウンロードしたい場合は、一度ローカルにダウンロードして、それからOneDrive上にアップロードし直す必要があります。普段Googleドライブを使ってファイルの同期を行なっている人はあまりこの辺は意識しなくてもよさそうですが、OneDriveを使っている人は少々面倒ですね。
なので、Chromebookで仕事をしているときは基本的にGoogleドライブを使用し、1日の仕事が終わったらOneDriveに手動でコピーする形にしました。
OneNoteに関してはAndroid用アプリが利用できるんですが、僕はOffice 365 for Businessを契約しており、Android用のOneNoteアプリは使えないよう。なので、OneNoteはWeb経由で使うことにしました。
全部Webアプリにしちゃえば簡単なのでしょうが、できるだけ自分が使いやすいようにしたいと思うと専用アプリ使いたくなるんですよね。でもAndroid用アプリを使うことになるので、結局はWebアプリを使ったほうがいいかもしれません。ここら辺は試行錯誤が必要かも。
3日使って気付いたChrome OSの弱点
この状態で3日間仕事をしましたが、特に問題はありません。Google ChromeでWebブラウジングやメールチェックをし、Googleドキュメントで文章を入力し、Slackで連絡を取り合う。OneNoteがWebアプリなのが少々気になっていますが、利用頻度は低めなのでそれほど問題ではありませんでした。
それよりもちょっと気になったのが、Chrome OSの挙動。Chrome OSはデスクトップがあり、アプリのウィンドウを並べて表示したりすることができるので、スマホやタブレットよりはパソコンと同じような感覚で使えます。
これはとても作業効率が上がっていいのですが、ひとつ問題が。それはデスクトップ上にファイルを置いておくことができないのです!
Webページから画像ファイルをダウンロードしたときに、一時的にデスクトップに保存しておきたいのですが、それができない。また、ファイルブラウザからデスクトップにファイルをドラッグ&ドロップしても置くことができない。これ、ちょっとしたことなんですが、結構ストレスになるんですよね。普段デスクトップにファイルをずらずら並べている人は、それができませんので注意。整理整頓を心がけましょう。
オンライン会議は問題なし。文字起こしは快適なサービスを発見!
Chromebookで仕事を始めて5日。とうとうこの日がやってきました。そう、リモートワークになってから頻度が急増しているオンライン会議。この長期レビューをするときに懸念していたことのひとつです。今回はGoogle Meetで行ないました。
結果として、何の問題もなく使えました。カメラやマイクの性能はどうかなと思い通話相手に聞いてみましたが、特に問題なかったとのこと。ビジネスの現場はもちろん、学校のオンライン授業などでも問題なさそうです。
そしてもうひとつ気になっていたのが、インタビューなどの文字起こし。僕は文字起こしには、macOSの文字起こし用アプリ「Interview」を愛用しています。これがないと、文字起こしできないくらいの身体になっています。これと同じくらい快適にChromebookで文字起こしができるのか…。不安です。
そこで、インターネットをいろいろ検索してみました。するといいサービスがあるのを発見。「oTranscribe」という文字起こし用のWebサービスです。
こちら、音声ファイルの再生機能が付いたテキストエディタ。音声ファイルをページ上にドラッグ&ドロップして登録すると、その音声ファイルを再生しながら、画面上に文字を入力していけます。
これがとてもよかった! 音声の再生・一時停止が「Esc」キーに割り当てられており(もちろんカスタマイズ可能)、この操作がとても快適だったんですよね。僕、Interviewを使っているときにいろいろキーをカスタマイズしていたのですが、この「Esc」キーでの再生・一時停止が快適すぎて、泣きそうになりましたよ。まあ、Interviewでもキー割り当てを変えればいいだけなんですけど…。
とにかく、Chromebookでも快適に文字起こしができることがわかりました。これは収穫。
最後の難関、RAW画像の編集はどうだ!?
すでにChromebookで仕事を始めて1週間。普段の仕事のほとんどはChromebookでこなせています。正直予想以上。まあ、僕は動画編集をしたりCADソフトを使ったり、3DCGを扱ったりすることがないので、Chromebookでも大丈夫なんだと思います。
さて、ここにきて大一番を迎えます。そう、RAW画像の現像です。僕の仕事の中では、これが一番処理が重い(はず)。僕はLightroom Classicを使っているのですが、同じようにRAW現像できるのでしょうか。
調べてみたら、AdobeがAndroid向けのLightroomを提供しています。これをインストールしてみました。
モバイル版のLightroomになりますが、RAW画像を開くことができました。もちろんカラープロファイルの設定を変更したり、レンズ補正を適用したり、露出やホワイトバランスの変更などなど、僕が日常的に行なっているRAW現像の作業はほぼ行えました。これはかなりうれしい。
ちなみに、Android版のPhotoshop Expressも動作しました。フル版のPhotoshopとは違う感じのアプリですが、写真の色を変えたりコラージュを作成するといった用途になら使えそうです。
文章入力時に不便に感じること
これは、1週間を通してちょっと困っていたことなんですが、文章入力時の不便さがありました。僕は、テキストエディタで2つのテキストファイルを開いて原稿を書くことが多いのですが(インタビューの文字起こしのテキストを見ながら原稿を入力するなど)、これがGoogleドキュメントだとやりづらいんです。
Googleドキュメントでそれぞれのファイルを開いて、片方のタブをデスクトップにドラッグ&ドロップしてウィンドウ化し、それぞれのウィンドウサイズを調整して…。これを毎回やるのがかなりストレスでした。
僕は、基本的にタブで複数ファイルが開け、2つのファイルを同時に表示できるテキストエディタしか使いません。そうすることで2つのテキストファイルを同時に開いて作業するのが楽なんです。
でも、Chrome OSで動いて、なおかつそういうことができるテキストエディタが見当たりませんでした。僕の仕事の7割8割はこの作業になるので、それが快適ではないのはちょっと辛いなと感じました。
今回使ったChromebookについて
ハード面もちょっと見ていきましょう。今回使用したAcer Spin 713は、Chromebookとしてはかなり高性能(その分高価ですけど)。正直、どのアプリもサクサク動いて、動作に関する不満はありませんでした。でも、もっと低いスペックのChromebookではどうなのでしょうね。その辺りは別の機会に検証できたらなと思います。
バッテリーの持ちに関しては、必要充分。移動中にちょっと開いて作業する感じなら、1日使っていても大丈夫。また、USB-Cでの充電に対応しているので、モバイルバッテリーから充電できるのも安心です。
最近のノートPCとは違うなと思ったのが、端子類。USB-C×2、USB-A×1、microSDカードスロット、HDMI端子、ヘッドフォン端子と、豊富な端子類が付いています(音量ボタンもあるよ)。そんなに使うことはないのかもしれませんが、あればあったでいろいろ周辺機器が使えて便利。普段MacBookで使っているUSBスピーカーや外付けキーボード、USB-Cカードリーダーなどはドライバ不要でそのまま使えました。これが何気にすごいなと思いましたよ。
キーボードは英字配列。僕は英字配列が大好きで、英字配列を見ながらウーロンハイを5杯くらいは飲めるんですけど、やっぱりいいですね。しかもかなり打ちやすいんです。適度なストロークとクリック感があって、文字入力に関しては快適でした。
ディスプレイも好印象。13.5型で画面比率が3:2(2256×1504)で、かなり作業領域が広く感じます。
総じて、ハード面への不満はほとんどなく、むしろいいなと感じたくらいです。重さが約1.37kgと少々重たいかなと思ったのですが、バックパックに入れて持ち運ぶ程度なら、それほど問題ではありませんでした。
1週間使ってみて「これは仕事で使える」と思った
1週間使ってみた感想は「Chromebookは思ったよりも仕事で使えるな」というもの。僕は割と仕事パソコンへのこだわりがあるので(特にアプリ面)、Chromebookでは満足できない部分もありました。一番気になったのが、OneDriveにあるファイルを活用するのは少々面倒だなと感じたことと、テキストエディタの問題です。
僕は多分、一般の人よりテキストエディタの利用頻度が高いため気になったと思うのですが、あまりそこにこだわりがない場合は、Googleドキュメントをメインに使ってもほぼ不満を感じることはないと思います。
使い始める前は「Chromebookで仕事〜?」と思っていましたが、やってみれば割と普通に使えます。というか、Chrome OSがキビキビしていて、マシンの起動なども速いので快適でしたね。
「Microsoft Office系アプリは使えないの?」という声もあるでしょうが、Office 365に加入していればオンラインアプリが使えるほか、無料で使えるAndroid版アプリも存在します。ただし、Microsoftのアカウントがないといろいろ不便なので、アカウントがある人向けかな。あと、Android版だとできないことも多いので(Excelでグラフが作れないとか)、あまり過度な期待はしないほうがいいかも。ビューワー代わりといった感じでしょうか。
iPadにキーボードを付けて仕事に使っている人も多いと思いますが、そのスタイルよりはちょっと使い勝手が広がる感じ。タブレット以上ノートPC未満。それがChromebookではないでしょうか。
Chromebookに向いている人いない人
初めてパソコンを使う人ならば、「こういうのが当たり前」と思えばスイスイ使えると思いますし、すごくパソコンに詳しい人が「自分なりに使いこなしてやるぜ!」と思えば、かなり使い込める要素があります。なので、そういう人たちにはとてもマッチしていると思います。
逆に「パソコンでイライラしたくない」人にとっては、ちょっと物足りない面もあるので、そういう人は避けたほうが無難かも。特に今回使ったマシンは、実売価格8万9800円とかなり高価です。同じくらいの価格でWindowsでもMacでもノートPCが買えますから。
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https://www.gizmodo.jp/2021/03/amazon-chromebook.html
Photo&Image: 三浦一紀