大企業こそのガルーンの使い方を転職組3人にとことん聞いてみた
エンタープライズ向けグループウェア「サイボウズ ガルーン」は、本当に大企業のニーズに合致しているのか? サイボウズの転職組3人に、エンタープライズ企業ならではの情報分散やメーリングリストのうっかり事故などの課題を聞くと共に、サイボウズに入って感じた情報共有のスピード感やコミュニケーション濃度の違いなど、大企業にこそ知って欲しいグループウェアの活用法をとことん聞いてみた。
今回の登場人物
元メーカー:サイボウズには2016年入社。前職は大手メーカー。コンシューマー製品の設計、ITインフラ製品のプロモーションを担当。
元ソフト会社:サイボウズには2015年入社。前職はソフトウェア企業。エンタープライズ製品のマーケティング、コンシューマー製品のプロモーションを担当。
元外資IT:サイボウズには2015年入社。前職は大手の外資系IT企業。Webポータルの広告営業、その後、コンシューマー向けのソフトウェアや周辺機器のマーケティングを担当。
大谷:TECH.ASCII.jpの担当記者 大谷イビサ
エンタープライズは社内システムが乱立しているもの
大谷:まずは前職について聞かせてください。みなさんIT系のエンタープライズ企業というのは共通しているのですが、大手メーカー、国産IT企業、外資系IT企業とそれぞれ立ち位置が異なっています。大企業ならではという体験があれば教えてください。
元外資IT:前職の外資系IT企業は、事業ポートフォリオが広いだけに本当に同じ会社とは思えないくらい服装も文化もバラバラでした。エレベーターの中では、へび皮の靴を履いてオレンジのカバンを持った広告営業の横に、スーツをカッチリ来た金融担当の営業がいるみたいな感じ(笑)。私が入社したときと比べると、現在は従業員も2倍以上に拡大したので、ますますその差は拡がっていると思います。
元メーカー:前職はやはり事業領域が幅広かったので、文化や仕事のやり方がバラバラでした。事業部ごとに使っている言葉や、開発の工程管理が全然違うので、事業部間の異動は、転職するのと同じような感覚です。国内だけでなく、世界中に拠点がありましたので、大企業ならではのコミュニケーションの大変さがありました。
大谷:使っている社内システムも当然バラバラという感じだったんでしょうか?
元メーカー:人事評価や給与、経費精算システムは統一されていましたが、案件管理や工程管理など業務に関わるものは組織ごとに違うものを使っていました。最近はそのようなシステムも統一して、全社で情報共有をしよう、という動きもあるようですが。
「Webベースのシステムが乱立していて、アドレスを知らないとなにもわかりません」(元外資IT)
元外資IT:前職は基本的にWebベースのシステムでしたが、勤怠だけは入社して2年くらいまで紙で人事へ社内便で送っていました。とはいえ、Webベースのシステムも乱立していたので、中途で入った人はそのシステムのアドレスを知らないと、なにもわかりません。ポータルも一応あるんですけど、あまりメンテナンスされていないので、リンク切れもありました。だから、部署に話しかけやすそうな人がいないと、必要なサイトに行き着きません(笑)。
大谷:まさに「エンタープライズあるある」ですねー。席が固定されていないフリーアドレスだと、ますます誰にも相談できず、孤立するとか(笑)。
元ソフト会社:私の前職では、ITはグローバルで共通のものを使っていたので、日本でもグローバル仕様のものを使っていました。ただ、勤怠システムだけは日本独自のものでしたね。あと、グローバルの拠点は、営業メイン、サポートメインといった感じで人員構成が異なっているので、日本では独自に販売管理システムを立ち上げていました。正直、どれをグローバル標準にして、どれをローカル運用にするのか、イマイチ違いがわかりませんでした。
大谷:前職の会社では情報共有はなにを使っていましたか?
元メーカー:部署によっていろんなツールを使っていました。基本はメールですが、Notesや電子会議室のようなツールもありましたし、全社的な情報共有は社内イントラを使っていました。メールも事業部によって使っているものが違ったので、たとえば「重要フラグ」を立てても、相手が違うツールを使っていたので伝わらなかった、ということもありました。だから、違う部署の人にメール送るときは気を遣いました。
大谷:同じ会社でもビジネスモデル自体が違うので、システムが違うのはわからんでもないのですけど、不都合なのは確かですね。
元ソフト会社:前職ではSharePointで情報共有していましたが、サイボウズ製品に比べると、堅い感じ・親しみにくい感じはありましたね。社内SNSをやっているのも、ほとんどはフィリピンの人で、日本人はまったく書き込まない。国によって利用頻度が違ってました。
元外資IT:IT企業だからといって、全員が全員テクニカルなことに詳しいわけではないんです。私が所属していたのはマーケティングの部署だったんですが、SharePointで共有フォルダを作っているのは珍しかったです(笑)。同じ質問を何度も聞かれることもあって、そのたびに「ここ見てよ~」と思ってました。
メールなしでどうやって仕事するのかわからなかった
大谷:さて、転職してきて、サイボウズの社内システムはどうなってるんですか?
元メーカー:日常のコミュニケーションは、ガルーンとkintoneが中心です。どの業務でどのツールを使うかは、厳密には決まっていないのですが、それぞれの担当製品をより多く使う傾向はあります。それぞれのチームが自分たちの製品を使い倒している感じですね。
元外資IT:そうですね。ほとんどのプロジェクトはガルーンのスペース。情報を分散させたくないとか、1つのスレッドで長く読めたほうがよいもの、あと個人のやりとりはガルーンのメッセージを使います。うちの場合、おそらく新卒入社の社員は社員同士でEメールのやりとりをしたことがほとんどないと思います。
サイボウズ社内のプロジェクトではガルーンのスペースが大活躍
元ソフト会社:部署ごとにツールが違うというより、トピックや案件にひも付いている感じですかね。kintoneチームの僕もガルーンチームのスペースに招待されたら、そのままガルーンでやりとりしますし。
大谷:サイボウズに入って驚いたところはありますか?
元外資IT:私はメール育ちだったので、グループウェア自体を使ったことがなかったんです。以前はOutlookを開いて、メールボックスを検索すれば仕事ができた。だから、サイボウズで「メールを使わない」というのはかなり衝撃で、メールを使わない仕事のやり方がそもそもわかりませんでした。だから、ガルーンのスペースやメッセージを使うやり方は、当初は「かえってわかりにくくない?」と思っていました。でも、慣れてくると、情報が集約されている方が圧倒的に便利。それは日々実感しています。
大谷:うちのようにメーリングリストがいっぱいある会社だと、それは聞いていてうらやましいですね。
元外資IT:メーリングリストだと、誰が入っているのかも、メールアドレスで判断しなければならないじゃないですか。でも、似たようなアドレスが多いし、派遣社員や外部スタッフをアルファベット1文字の有無で識別しなければならないので、前職では間違ってメールを送ってしまった事件も発生していました。
元メーカー:私の前職の場合、メーリングリストは自由に作れなかったので、たとえばある役職にまとめてメールを送りたい場合は、アドレス帳で役職をチェックしながら、メールアドレスを1個1個抜き出してメールを作っていました。その点、ガルーンには「ロール」という概念があり、これを使うと、「部長だけに通知が送信される掲示板」などが簡単に作れます。わざわざメールを出さなくても、掲示板に投稿すれば、特定の役職宛に連絡ができるようになります。前職でこれがあったら、あの無駄な時間はいらなかったのになあ、と思います(笑)。
元外資IT:あと、メーリングリストだと、なにかトラブルが起こった場合に、送った、送らないで過去のメールを掘り起こして、犯人捜しになりますよね。でもファイル管理だったら、更新日が明確になっていたり、スペースで進捗を共有しておけば、そういうこともなくなります。
ガルーンの全文検索があれば、目標のファイルにきちんと行き着く
大谷:メール中心のワークスタイルがグループウェアに移行すると、けっこうインパクトは大きいんですね。ほかにガルーン便利だなというところはありますか?
元外資IT:ガルーンだとファイルのバージョンや日付、更新内容などがわかります。前職のときはメールに添付されていたファイルを日付を頼りに探していたけど、日付で調べてもファイルが必ずしも最新じゃないこともありましたね。
「ファイル名だけで判断すると、ファイルサーバーのフォルダを開いても、欲しいファイルがないと思っちゃいます」(元ソフト会社)
元ソフト会社:多くの会社ってファイル名のルールもないじゃないですか。だから、ファイル名だけで判断すると、ファイルサーバーのフォルダを開いても、欲しいファイルがないと思っちゃう。
元外資IT:そうそう。英数だけでファイル名を付ける人と、日本語でファイル名を付ける人といるし(笑)。
大谷:なるほど。前回、記事を書いていて思ったのですが、ガルーンの真価って実は全文検索かなと。インターネットでググるのが当たり前なのに、イントラになるとそれができないってすごいストレス。社内でも同じように情報を探せるのは大きいですよね。
元外資IT:そうなんです。部署ごとに異なる共有フォルダを使っていると、そもそも検索しても見つからない。
元ソフト会社:でも、ガルーンのようにファイルの中身まで全文検索できると、なんかしら引っかかってくる。そこは助かります。
「あとはオフラインで」がなくなり、オンラインでいろいろ進む
元外資IT:あと、サイボウズは会議が少ないです。前職は1日の半分が会議という日もありました。20人くらいのグループでメーリングリストが作られると、決めごとは会議で顔をつきあわせてやろうという話になります。結局、メールは伝達手段なので、議論は週に1回の定例会議になってしまうんです。でも、ガルーンではトピックに対しての議論がオンラインで活発に行なわれます。だから、フェイスツーフェイスで会わなければならないことは少ないし、会った時には議論が進んだところからスタートできます。だから無駄な時間を割かれない。
元ソフト会社:確かに、前の会社では「あとはオフラインで」ということがよくありましたが(笑)、サイボウズではなくなりましたね。
元メーカー:私も同感です。ガルーンやkintoneを使うと、雑談がオンラインでできるんです。メールだとどうしてもかしこまった情報発信になってしまいますが、ガルーンのスペースやメッセージはコメント形式なので、メールよりも気軽に発信できます。メモ書き程度の報告やちょっとした思いつきも簡単に共有できるので、オンラインで会話が進むんですよね。リモートワークをしていたり、拠点が違う人たちとも、オンラインで気軽に話せるのが良いですね。
コメント形式で気楽に発信できるメッセージ
大谷:場所を問わずに気軽にコミュニケーションできると、ちょっとした気づきがメンバーに共有できますよね。
元メーカー:あと、メールって発信者が宛先を決めるじゃないですか。でも、実際は発信者が認識していない人がその情報を欲していることも多い。サイボウズのスペースは基本公開なので、誰でも見られ、私が知らない人でも私の持っている情報を知ることができる。逆に他部署の人がなにをやっているか知りたい場合は、その部署のスペースを見に行きますし、そこでもしトラブルになりそうなことを見つけたらコメントもします。こういうことは、メールではできない情報共有だと思います。
大谷:違う部署同士で同じようなことをかぶってやってることありますよね。他部署のこともきちんと知っておきたいんですけどね。
元メーカー:以前は、他部署の仕事を知ろうと思ったら、その部署の人に時間を割いてもらう必要がありました。そういうことが減りましたね。
スケジュール活用で会議がもっと生産的に
元外資IT:会議をするにしても、スケジュールを使えば、複数ユーザーの予定が調整できます。前職ではOutlookで20人くらいの参加者の空いた時間を探すのは本当に大変でした。その点、ガルーンは参加者の空き時間を探してくれる。最初に使った時に感動しました。家で夫に自慢したくらい(笑)。
「スケジュールの1画面で会議の内容が全部集約されているのは、最初とても感動しました」(元メーカー)
元メーカー:ガルーンはスケジュールにファイル添付ができるのも良いですね。会議資料って直前に何度も更新が入ると思うんですが、そのたびにメールで送ると、メールボックスの容量を圧迫するし、受け取る側もどれが最新かわからなくなってしまいます。でも、スケジュールに添付しておけば、メールを送らなくても最新の資料が共有できます。会議が終わったら、議事録もそこに添付すればいい。スケジュールの1画面で会議の内容が全部集約されているのは、最初とても感動しました。
スマホで使えるので、紙の手帳を持つのを止めた
大谷:ガルーンのクラウド版だと、モバイル環境で使えるというのも魅力です。みなさんはモバイルでもバリバリ活用しているんでしょうか?
元メーカー:かなり使っています。前職では、携帯やスマホでメールが見られるのは一部の人たちだけ、私は見られませんでした。なので外出先で必要なことをメモするために紙の手帳を使っていたんですけど、サイボウズではスマホでグループウェアをチェックできるので、手帳を持つのは止めました。
元外資IT:そうですね。入社当初は持っていましたね。
元メーカー:はい。待ち合わせ場所とか、時間とかすべて紙に書いて持ち歩いていたんですけど、スマホで見られればもう要らないので。
元外資IT:私は前職ではスマホはメールを読んでいただけですね。まあ、メールで事足りていたので。今、私は時短をとらせてもらっているので、スペースを使えば、電車の中で仕事の進み具合を追えるのはとても大きいです。
大谷:モバイルの偉大なところは休日に仕事ができるというより、スキマ時間を有効活用できる点ですね。東京のサラリーマンにとって、通勤時間はそれなりに長いですからね。
元ソフト会社:私も行き帰りで2時間かかるので、それは大きいです。早く帰る時でも、電車で仕事が見えるというのはありがたいです。
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拠点や人数が増えると共に、社内コミュニケーションの複雑さが増していくのが組織の常。数千人規模の会社に所属するオオタニも、サイボウズ転職組の生々しい話を聞き、納得することも多かった。こうした環境に、スペースやメッセージなどさまざまな機能を搭載したガルーンのようなエンタープライズグループウェアは効きそうだ。
(提供:サイボウズ)