M1 Max搭載16インチMacBook Proはどれだけ速いのか?Intel CPUだけでなくGeForceも上回る高性能を発揮
M1ベースでスケーリングしたのがM1 ProとM1 Max
M1 Max(写真提供:Apple)Appleが発表した16インチMacBook Proおよび14インチMacBook Proは、昨年(2020年)登場の13インチMacBook Proに初めて搭載されたM1の性能強化版となる「M1 Pro」および「M1 Max」を採用している。
M1 | M1 Pro | M1 Max | |
---|---|---|---|
高性能コア | 4コア | 8コア | 8コア |
高効率コア | 4コア | 2コア | 2コア |
GPU | 8コア | 16コア | 32コア |
TFLOPS | 2.6TFLOPS | 5.2TFLOPS | 10.4TFLOPS |
ニューラルエンジン | 16コア | 16コア | 16コア |
最大メモリ容量 | 16GB | 32GB | 64GB |
メモリ帯域幅 | 68.2GB/s? | 200GB/s | 400GB/s |
メモリ帯域幅 | 128bit? | 256bit? | 512bit? |
DRAM | LPDDR4x-4266? | LPDDR6-6400? | LPDDR6-6400? |
トランジスタ数 | 160億 | 337億 | 570億 |
製造プロセスルール | 5nm | 5nm | 5nm |
上の関連記事でも触れている通り、M1 ProとM1 Maxの公表されている情報から確認できる範囲では、M1のCPU、GPUをスケーリング(伸長)した製品となる。
現代のCPU、GPUというのは、どんな製品でも大抵はスケーリングできるようにアーキテクチャ的に設計されている。というのも、同じ製造プロセスルールの世代であれば、コストはダイサイズに比例して大きくなるからだ。
このため、CPUなら4コア、8コア、16コアなどに伸縮できるように設計しておき、クライアントPC向けなら4コア製品を製造し、そこから製造後の選別で2コア分を無効にしなければ使えない製品などを、2コア製品として出荷するなどしている。
一方で、コストがクライアントPC向けほどは問われないサーバー向けを8コア、16コアで製造するなどの手法で様々な製品バリエーションを作り出すという手法が一般的だ。
その意味で、M1 Pro、M1 MaxはまさにM1のスケーリング製品という評価が最も妥当だ。
M1では8コアArm CPU(高性能コア4コア+高効率4コア)と8コアのGPUから構成されていたのに対して、M1 Proでは10コアArm CPU(高性能8コア+高効率2コア)と16コアのGPU、M1 Maxでは10コアのArm CPU(高性能8コア+高効率2コア)と32コアのGPUという構成になっている。
高性能コアとGPUという観点で見ると、M1 ProはM1に比べてCPUが倍でGPUも倍、M1 MaxはM1に比べてCPUが倍でGPUが4倍という構成だ。
M1 Pro、M1 Maxは、初代M1と同じTSMCの5nmプロセスルールで製造される。昨年から1年が経過しており、同じプロセスルールの世代でも進化が想定されるが、それでも同じ世代で製造される以上、CPUとGPUのコア数を2倍、4倍にしたことは当然ダイサイズの肥大化を招き、結果としては消費電力が増えることになる。
このため、M1 Pro、M1 Maxは当然M1と比較して消費電力は増えることになるので、それに対してM1に比べるとより大規模な熱設計が必要になるし、より大容量のバッテリを搭載する必要があり、結果として重量増を招くことになる。
ただ、Apple自身が主張しているように、CPUとGPUをSoCにして、巨大チップにしたことは、性能面でのメリットもあるが、どちらかと言えば電力効率面でのメリットの方が大きい。Appleが謳う7倍高効率かどうかは分からないが、CPU/GPUが1チップの場合、電力管理はより容易に、かつ効率よく行なうことができることは間違いないだろう。
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