BIツールの比較10選。4つのタイプ別の選び方 BIツールの比較10選。4つのタイプ別の選び方

BIツールの比較10選。4つのタイプ別の選び方 BIツールの比較10選。4つのタイプ別の選び方

最終更新日:2022-02-28

データの分析をExcelなどで行うことに限界や不満を感じている方へ。BIツールの機能や導入するメリット、提供しているサービスのタイプや比較ポイントについてご紹介します。

目次

BIツールとは?

BIツールとは、社内に蓄積された様々なデータを集約し、共有・分析などを行うビジネスインテリジェンス(Business Inteligence)ツールです。

社内のデータは顧客、社内管理、経営数値など多岐にわたります。そのため部門や担当者ごとにバラバラに保管されがちです。その結果、「必要なデータを探すのに時間がかかる」「正確な分析ができない」などのデメリットが生じることも。

そこで役立つのがBIツールです。バラバラに散らばったデータを集約し、分析やグラフによる可視化などを行えるので、経営層の意思決定の精度を高めたり、事業部のマーケティング立案・戦略策定に有効活用できたりと、色々な用途で役立てることができます。

BIツールの主な機能

BIツールには主に以下の機能が搭載されています。

レポーティング機能

社内の様々なデータを集約し、グラフや図表といった形式で表示する機能です。売上管理やKPI(重要業績評価指標)管理を中心として、効率性・パフォーマンスのチェックや素早い異常の検知で、問題への対応と意思決定を迅速化できます。ダッシュボードにグラフを表示させて、視覚的に確認できるツールも多くあります。会議に提出するための資料など日常的に使われます。

OLAP分析

OLAPはOnline Analytical Processing(オンライン分析処理)の略で、蓄積されたデータを分析する際の検証を支援する機能です。「ドリルダウン」や「スライシング」のように、複数のデータの関係性を複数の角度から手軽に分析できます。また「インメモリ」という処理技術によって、大量のデータをスピーディーに処理できるツールもあります。

データマイニング

様々なデータを統計的な処理を通して、有効なパターンや傾向をつかみ、探索するための機能です。データマイニングにより、現在のデータから新たな知見や気付きを得ることができます。自分でデータの相関性に仮説を立てなくても、データマイニングを通して法則を見出すなど、OLAP分析と同様に専門性がなくても扱えるというメリットがあります。

プランニング

過去の実績を分析しながら将来の数値をシミュレーションし、計画を作る根拠にする機能です。予算や売上計画の作成、在庫の管理といった場面で使われることが多く、精度の高い予測に役立ちます。「What if分析」など条件の変化によって、どれくらい売り上げや利益が推移したかをみる機能もあります。

BIツールの主な活用シーン

上記の機能をもとに、BIツールは以下のようなニーズに応じて活用されます。

BIツールのタイプ

BIツールは大きく4つのタイプに分かれます。主に事業規模や使い方によって、ツールの特徴を活かせるサービスを選んでいくとよいでしょう。

(1)個人単位からでも導入できるタイプ

「セルフサービスBI」といわれるタイプのツールです。BIツールのためにサーバーを構築しなくても、クラウド環境やデスクトップ環境からデータ分析を行うことができ、チームでの共有にも対応しています。大掛かりな設備が不要で、PCがあれば導入ができるという点で、個人単位でも気軽に導入できることがメリットとなります。

ツールにもよりますが、接続できるデータソースが限られる場合があることや、大量のデータを処理したいときに動きが遅くなることがあるなど、大規模データの分析には向かないこともあるので注意が必要です。

(2)データの集約・分析と環境構築に適したタイプ

社内のデータを集約し、メンバーが自由にデータを分析・利用できるように、環境を整えたい場合に向いているタイプです。社内のデータを集約して分析環境を整えるため、データベースサーバーの構築や、社内の各種業務システムと連携させる必要があります。これにより横断的なデータ分析が可能になります。

(3)クラウド環境などとの連携に適したタイプ

(2)と同じくデータ分析環境向けですが、さらにSaaSやクラウド環境で構築した業務システムなどとの連携に強みを持つものがこちら。SaaSとの連携においては、コネクタと呼ばれる接続方法があらかじめ用意されているので、データの連携がしやすくなっています。

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(4)用途特化型のタイプ

ある特定の目的・シーンに特化したタイプです。必要な機能を絞り、シンプルに使うことができるので、売り上げの分析をしたい、マーケティングの計画立案をしたいなど特定シーンで利用したい場合はこちらがおすすめです。

BIツールの比較のポイント

BIツールを用途に合わせたタイプで絞ったら、次に具体的な機能を踏まえて比較していくと良いでしょう。比較ポイントは主に4つあります。

データの抽出・検索方法

膨大なデータから必要な情報を抽出するために、データベースの操作・命令を出すスクリプト(SQL)の記述が必要なのか、アイコン・ボタン・プルダウンメニューなどから選択できるのか、またはその両方に対応しているのかを確認しましょう。利用する人にとってSQL文作成の負担が大きい場合は、直感的に操作できるものが良いでしょう。細かな検索内容や自由度の高いデータ分析をしていきたい場合であれば、SQL文を使う方が適している場合があります。

連携するSaaSやアプリの範囲

BIツールは、データベースやSaaSなどとの連携をスムーズにするため、コネクタが用意されています。コネクタが用意されていなくてもCSVを活用してデータ連携ができるものもありますが、自動で連携できるコネクタと比べるとどうしても手間が大きくなってしまいます。現在、自社で利用しているサービスにコネクタが対応しているかを基準にして選んでいくのがおすすめです。

Excel出力への対応

BIツールで分析したデータを、さらに加工・活用したい、Excelデータにしてチームに共有したいといった場合には、Excelでの出力に対応した機能があると便利です。たとえば、「軽技Web(富士電機株式会社)」は、分析結果をExcelレポートにして出力することに対応しています。「MotionBoard(ウイングアーク1st株式会社)」でもオプションでExcelに変換することが可能です。

主なBIツール(個人単位での導入が可能)

こちらでは、個人単位で手軽に導入できるタイプのBIツールを3つご紹介します。

Tableau(Tableau Japan 株式会社)

(出所:Tableau公式Webサイト)

Salesforceのグループ企業であり、世界的に導入されているBIツール。ビジュアル化に強く、ダッシュボードのカスタマイズが柔軟。地図マップの自動作成もできる。操作はドラッグ&ドロップを基本として、簡単にグラフを作成可能、ノートPCでの分析や、モバイルアプリからのアクセスにも対応できて、社外でのデータ確認も容易になっている。データ管理に役立つTableau Prep・Tableau Data Management、複数のユーザーとデータ共有ができるTableau Public、Salesforce とのネイティブな連携や、AI分析・予測ができるTableau CRMなど、多くのオプション機能を有していることも特長。

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Googleデータポータル(Google)

(出所:Googleデータポータル公式Webサイト)

インタラクティブなダッシュボードと魅力的なレポートが特徴の、無料で使えるBIツール。Googleのサービスのため、スプレッドシート、アナリティクス、Google 広告、Google BigQuery などの各種Googleサービスで使っているデータを、簡単に結び付けることが可能。データの探索ではSQL文の作成・コードの記述は不要で、専門性がない人でも使いやすく、チャートやグラフを、数回のクリックやドラッグ&ドロップだけで作成、個人だけでなくチームで共有、編集、コメントの追加といったこともできる。Googleサービスのほとんどにデータコネクタが対応しているので、Googleサービスを利用している場合には、まずこのサービスからBIツールを導入してみるとよい。

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Microsoft PowerBI(Microsoft)

(出所:Microsoft PowerBI公式Webサイト)

Microsoftが提供しているBIツールのため、Microsoft製品との相性が良く、AzureやOfficeと連携してデータを活用できることが最大のメリット。出力もExcel、PowerPoint、PDFといった形式に対応している。データコネクタは500以上が無料で用意されていて、データ連携がしやすく、数百ものオンプレミスやクラウドのデータソースに直接接続できるといった、幅広さが魅力。Microsoft AIを利用するとデータの準備や機械学習モデルの構築を行い、新たな気づきを得られるだけでなく、ビジネスに関する疑問をAIへ投げかけることで回答も得られるといったサポート機能も便利。

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主なBIツール(データ分析環境構築向け)

こちらでは、データ分析環境の構築に適したタイプのBIツールを3つご紹介します。

軽技Web(富士電機株式会社)

(出所:軽技Web公式Webサイト)

企業内の情報資産を、誰でも簡単に活用できるようにするためのBIツール。シンプルな操作でデータを検索できるため、データベースの専門知識がなくても、ブラウザ上の条件設定でほしいデータに簡単にアクセスできる。データ検索後に特定のフォルダに格納したり、メール添付で送信したりすることも可能。検索機能をベースにしたレポート作成のサポート機能や、繰り返し行う処理の自動化機能(タスクスケジューラー)を搭載していて、業務のサポート・業務効率化・省力化にもつなげられる。経営指標などの定型的なデータ推移だけでなく、現場の状況報告データなど非定型業務に対応できることも強み。

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Actionista!(株式会社ジャストシステム)

(出所:Actionista!公式Webサイト)

企業の集計・分析・レポーティング業務をサポートするBIツール。専門知識を持たない業務部門の担当者が自らデータ分析を行うことを目的としており、Webブラウザの操作のみ、完全ノンプログラミングで利用できる。開発環境・専用クライアントの導入は一切不要の使いやすさが特長。企業内で活用が想定される一般的な集計方法をプリセットし、ドラッグ&ドロップと集計方法の選択で集計表が完成できる。予実・変動・相関など、分析シナリオの選択により最適なグラフを表示できて、Excelなどを利用するよりも手軽に分析ができる。クライアントフリーのサーバーライセンスで、1ライセンスの購入で企業内すべてのユーザーが利用可能であることも嬉しい。

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MotionBoard(ウイングアーク1st株式会社)

(出所:MotionBoard公式Webサイト)

データ活用に必要な機能を1つのプラットフォームで提供するBIツール。30種類以上のチャートで業界特有のニーズもカバーし、小売流通業向けには地図やカレンダー、製造業向けには管理図やガントチャートなど、多彩な表現が可能。データコネクタもCData Software社のアダプターを採用し、60種類以上を網羅している。クラウド版も提供されており、サーバー調達不要なのでスモールスタートして使い勝手を見定めていくこともできる。同社のデータ基盤ソリューション「Dr.Sum Cloud」でデータ連携、分析用データベース作成をして、MotionBoardの集計・分析といった運用方法がおすすめになっている。

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主なBIツール(クラウド環境との連携に強み)

こちらでは、クラウド環境との連携に強みを持つBIツールを2つご紹介します。

Domo(ドーモ株式会社)

(出所:Domo公式Webサイト)

データ連携・データ管理に優れたクラウド型のBIツール。海外で使用されている多数のSaaSと連携しており、Domo単体でデータ分析までの環境を整備可能。データの結合・変換は直感的なUIだけでなく、SQL・R・Pythonなどカスタムスクリプトを使用でき、高度なデータ利用にも対応している。1,000以上のデータソースと接続可能で、リアルタイムのデータ自動更新機能、「カード」と呼ばれるグラフを作成すれば、さらに細かいコンテンツのカード作成で多角的な分析ができるほか、自動でモバイルデバイスへの最適化がされ、モバイルでの対応も柔軟。アラート機能・チャット機能・コミュニティでのやりとりなど、時間のロスなく連携・対応できる体制を構築できる。

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Qlink Sense(クリックテック・ジャパン株式会社)

(出所:Qlink Sense公式Webサイト)

データの見える化と高速探索から情報分析を迅速に行うクラウド型BIツール。独自のアナリティクスエンジンと AI により、見落しがちな点まで発見することを強みとするセルフサービス型のデータ分析プラットフォームで、機械学習、自然言語処理による分析まで対応している。ドラッグ&ドロップの直感的な操作性と、スマホやタブレット対応のマルチデバイスでデータを視覚化し分析できることも魅力。クラウド型でデータベースの運用が不要なので、導入しやすいという点もメリットとなっている。

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主なBIツール(用途特化型)

こちらでは、シンプルな機能で特定の用途での利用に適したBIツールを2つご紹介します。

KiZUKAI(株式会社KiZUKAI)

(出所:KiZUKAI公式Webサイト)

サブスクリプションサービスの管理・分析向けのBIツール。顧客データを収集し、顧客状態を分析して、サービスを解約しそうな顧客やアップセルできそうな顧客を見出し、コミュニケーション施策やアクションすべきリストを自動抽出できる。解約要因をつかむことができ本質的な改善に着手できるようになるのがメリット。AIによる解約リスク自動算出、アップセルや有料会員化の予測分析、条件を指定しての顧客のスコアリング、データの定点観測やアラート機能など、サブスクサービスで気になるデータ分析が多く搭載されている。

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Sales Rush Board(株式会社Srush)

(出所:Sales Rush Board公式Webサイト)

Excelや営業支援ツール、CRM単体では難しい分析を、エンジニアスキル不要、ユーザー負担なしでできるBIツール。営業・マーケティング向けの分析に特化しており、データの接続・統合といった手間が少なくグラフの作成が可能。250種類以上のサービス連携、100種類以上のテンプレートを搭載しているので、様々なツールから分析を進めることができる。分析はAIと機械学習によって行われ、KPI管理からボトルネックの原因、対策の選定、売上シミュレーション、受注相関などの分析に利用できるので、見やすい・使いやすいことも特長。

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まとめ

売上情報や顧客情報、在庫情報、会計情報など蓄積されたデータを資産として有効活用するためには、データをまとめたり、必要な情報を抽出したりと、時間も手間もかかるものです。またデータの処理には専門性を要する場合がありますが、データサイエンティストなどの知見がない場合には、どうしたらいいかも分からないということも。

データはあくまでも目的達成のための手段。その意味でもBIツールのような便利なアイテムを導入する意義はあると言えます。BIツールを導入する際には、会社に必要なことは何か、どこまで使いこなす機会があるのか、用途と規模感を考えたうえで検討してみてください。