y.u mobileが仕掛ける通話定額値下げ、そして今後のサービス進化の考えは――Y.U-mobile鹿瀬島代表インタビュー
「激動の1年」はどうだった?
――2020年~2021年は本当に激動の1年間だったと思います。この業界の移り変わりをどう見ていますか?
鹿瀬島氏 菅総理大臣になられてからは期待値が非常に高かったです。一方、大手キャリアさんは、結構きつかっただろうなと思います。
携帯電話はあって当たり前の存在だけに、日頃は一般メディアに大きく取り上げられることはあまりありませんが、当時は朝のニュースや総合紙の一面でも語られるなど、かなりクローズアップして取り上げられた時期でした。業界の活性化という意味では、かなりポジティブだったと私は思っています。
――政府の値下げ政策が先行し、価格競争になって、企業にとっては利幅が薄くなるネガティブな面もあったと思います。MVNOのビジネスにとっては、結構厳しかったのではと思ったのですが、実際にはいいかがでしたか?
鹿瀬島氏 全体感としては、大手携帯各社さんやサブブランドから新しい料金プランが登場し、MVNOも値段を下げざるを得ないといった形になっています。 MVNOの多くは、NTTドコモさんから通信回線を借りています。その接続料と、エンドユーザー向けの価格とのバランスが、必ずしもマッチしていないところがあります。接続料がマッチしていないにも関わらず、大手携帯電話会社が安い料金プランを出してきて、つらいところが正直ありました。
ただ、当社については、グループ23社で帯域を有効活用していますので、他のMVNOさんほどキツい状況ではありません。
また、先日リリースした「シングル U-NEXT」のような、動画配信サービス「U-NEXT」と組み合わせた独自色も押し出せています。
y.u mobileはまだまだ認知度が高くないので、ユーザー数を伸ばしていかないといけない、やる気に満ち溢れている状況です。ただ、接続料はもっと下がっていいのではないかと言いたいですね。
――グループで帯域を有効活用とは、具体的にどんな活用なのでしょう?
鹿瀬島氏 大きく言うと、有線放送です。夜間に帯域を使っています。イメージとしては、通信カラオケですね。
有線放送自体は映像ではなく音楽なので、通信量はそこまで大きくはありませんが、何十万というユーザー様がいらっしゃいます。
また、IoTで店舗経営をスマート化する「USEN IoT PLATFORM」もありまして、モバイル通信経由での配信も可能になっています。
このほか、USEN-NEXT LIVING PARTNERSという会社があるんですが、大手のディベロッパーさんと協力してスマートロックなど家のスマートIoT化を行っています。
個人宅には光回線が普及していますが、モバイル通信が必要なところに関しては我々の方から提供しています。
つまり、「y.u mobileはコンシューマ向けビジネス」ですが、USEN-NEXT HOLDINGSとしてはB2BもしくはB2B2Bのビジネスも展開しているというわけです。
――夜間、コンシューマが使っていない時間帯に帯域をうまく利用できているわけですね。