バルミューダフォンに早くも暗雲。過去のKDDIの失敗に見る“デザイン携帯”の難しさ

バルミューダフォンに早くも暗雲。過去のKDDIの失敗に見る“デザイン携帯”の難しさ

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バルミューダフォン

 チーズトーストを絶妙に焼きあげるトースター。大きく広がる風を送り出す扇風機。高い品質とデザイン性の製品を製造・販売するバルミューダ株式会社が、スマートフォン「バルミューダフォン」を発表しました。中小企業診断士の筆者が、バルミューダフォンと、それが同社に与える影響について考察します。

バルミューダフォンとコンセプトが似ていた

 その質感を、寺尾玄代表取締役社長は「目指していたのは河原に落ちている石」としました。詩を好む寺尾社長らしい表現です。この表現とよく似たコンセプトの携帯電話があります。「au Design project」(※)が2002年に発表した「ishicoro(イシコロ)」です。 そのコンセプトは「河原で拾った手のひらサイズの丸い石ころを3Dスキャンし、二つに割って折り畳み式の携帯電話に仕立てる」というもの。※au Design projectは現在「ARTS & CULTURE PROGRAM」など文化芸術体験提案まで活動を拡大。本稿ではフィーチャーフォン・スマートフォン開発(後継プロジェクトiida含む)のみを指すものとします。

スマホへのシフトに失敗したau Design project

auウェブサイト ケータイの形態学より/Photography by Hidetoyo Sasaki

 au Design projectは、“INFOBAR”をはじめ、数々の名機種を輩出。うち4機種がニューヨーク近代美術館(=MoMA)に永久収蔵されています。しかし、フィーチャーフォン(=携帯電話・ケータイ)からスマートフォンへのシフトに「失敗」。現在、プロダクトデザインは行っていません。 筆者は、au Design projectと類似するバルミューダフォンは、短命に終わるのではないかと危惧しています。また、バルミューダフォンが、バルミューダ全体に悪影響を及ぼすのではないか、とも危惧しています。

「au Design project」とは

左から INFOBAR/INFOBAR 2/INFOBAR C01/INFOBAR A01

 au Design projectとは、“性能よりデザインに力を入れた携帯電話”の開発プロジェクトです。KDDI株式会社(以下KDDI)と沖縄セルラー電話株式会社が、2001年より開始しました。 もっとも有名なのは、2003年に発売された“INFOBAR”でしょう。折り畳み型が主流だった当時、ストレート型の「デザインケータイ」は大きな話題に。同年の「ケータイof the Year 2003」(ケータイWatch、株式会社インプレス)を受賞しています。先に述べた、“ishicoro”は、同プロジェクトのコンセプトモデル(未発売)です。「河原で拾った手のひらサイズの丸い石ころを3Dスキャンし、二つに割って折り畳み式の携帯電話に仕立てる」「情報を象徴する長方形の光がぼわっと透過し、虫の音と同期して着信を知らせる」。このコンセプトを読んだとき「メチャクチャ欲しい!」と思ったものです。

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最終更新:bizSPA!フレッシュ