米政府、国境地帯にロボット犬の配備実験 住民は反発(CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース
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77コメント77件全地形対応車とともに米南西部で運用されている「ロボット犬」
(CNN) 米国とメキシコの国境地帯で険しい地形を乗り越えながら危険物や密輸品を捜索するロボット犬。まるでSFドラマの一場面のようだが、現実の光景だ。【画像】米・メキシコ国境地帯で行動するロボット犬この写真は米国土安全保障省(DHS)がこのほど、ロボット犬の実験に関する詳細とともに公表した。関係者はロボット犬の可能性について、生命を脅かしかねない危険との遭遇を減らすことで、国境警備員の安全が守られると説明する。一方、SNSではロボット犬に対する反発の声が相次ぎ、暗黒の未来を描く英SFドラマ「ブラック・ミラー」の一場面のようだという意見もあった。米南部国境地帯の住民団体は以前から、国境地帯の軍事化によって住民や移民が危険にさらされると訴えてきた。「既に使われているほかの技術についても私たちは減らしてほしいと思っているのに、また別の種類の監視技術が追加されるとは恐ろしい」と代表のビッキ・ガウベカ氏は言う。一方、ロボット犬を製造した米ゴースト・ロボティクスは、不安を感じる必要はないと強調する。ジレン・パリク最高経営責任者(CEO)は「我々は国家の安全のため、国のために正しいことをしている」と語った。DHS広報によれば、同プロジェクトはまだ研究開発段階にあり、ロボット犬の配備予定は決まっていない。SFドラマや映画に登場するロボット犬は、恐ろしい存在として描かれることもあった。2017年に放送された「ブラック・ミラー」のドラマには、人々を追いかけて殺すロボット番犬が登場する。しかしパリクCEOは、SFで描かれるロボット犬と、現実のロボット犬の間には大きなギャップがあると反論。「これはバッテリーで動く4本足のコンピューターで、4時間たつと動作しなくなる。これは人が間に入って遠隔操作するロボットだ」と訴える。それでも国境地帯でロボット犬を使うメリットは大きいとパリク氏は説き、CBPがパトロールする範囲は広大で、過酷な状況にさらされることもあると指摘した。実験に使われた体重約45キロのロボット犬には、さまざまな種類のカメラやセンサーが装着され、パソコンや携帯端末で操作する担当者にリアルタイムのデータを送信している。実験はまずバージニア州ロートンのアスファルトや草地、丘陵で行われ、続いて現実に近いテキサス州エルパソの丘陵や岩場を上り下りさせて偵察任務のシミュレーションを行った。さらに、狭い場所や熱波、低酸素状態など、「国境警備員や担当官にとって特に危険な状況」(DHS)での活動も行った。DHS科学技術プログラムマネジャー、ブレンダ・ロング氏は「南部の国境は人や動物を寄せ付けない場所もある。だからこそマシンが本領を発揮する可能性がある」と言う。一方、国境地帯の住民は以前から、この地帯が軍事化され、過剰な監視が行われているとして米政府を非難していた。ガウベカ氏は「国境地帯の住民はただでさえ、過剰な監視や過剰な軍事化を感じているのに、彼らはこんな新技術を打ち出してその宣伝を行っている」と批判する。ゴースト・ロボティクスは過去に米国防総省と組んだこともある。パリクCEOは、CNNの取材を受ける前にウクライナの国防省と電話で話したばかりだと打ち明けた。ただ、米国境のロボット犬は軍事的取り組みの一環ではないと強調している。
最終更新:CNN.co.jp