2.5GBASE-T×2でNAS向けSSD「WD Red」×4搭載、コンパクトで高速なオールSSD NAS「AXELBOX Thin」を試す

2.5GBASE-T×2でNAS向けSSD「WD Red」×4搭載、コンパクトで高速なオールSSD NAS「AXELBOX Thin」を試す

現代のオフィス環境にマッチ、B5サイズで薄型の高速NAS

 リモートワークの普及によって、オフィスには大型の機材を設置するスペースがなくなりつつある。NASが部門やチーム単位での情報共有やデータ保管に欠かせない状況であっても、オフィスレイアウトの見直しなどが実施される中で、それを設置するスペースが確保しにくい状況と言える。

 その一方で、PCの世界では、ネットワークの高速化が進みつつあり、もはやPCのWi-Fiは最大2402MbpsのWi-Fi 6搭載が当たり前、有線LANに関しても高性能なノートPCでは2.5Gbps対応が進みつつあり、スイッチの低価格化も進み、エッジ単位(オフィスの島単位)での2.5Gbps化も無理なく実現可能な状況にある。

背面

 テックウインドから発売されたAXELBOX Thinは、そんな現代のオフィス環境を想定し、ニーズにマッチしたSMB向けの高速NASだ。

2.5GBASE-T×2でNAS向けSSD「WD Red」×4搭載、コンパクトで高速なオールSSD NAS「AXELBOX Thin」を試す

 NASというと、ストレージを装着するためのベイが前面に用意されているのが普通だが、本製品にベイはなく、ストレージは全て内蔵となっている。

 コンパクトな筐体はB5サイズでわずか30×230×165mm。オフィスの棚、デスクの片隅など、ちょっとした空きスペースさえあれば、どこにでも設置が可能だ。

正面側面

 また、B5サイズで軽量な上、ストレージがSSDなので、HDDのように持ち運びで故障する可能性が低いため、オフィス以外の場所での活用も可能だ。例えば、イベントの運営チームが仮設の事務所に設置して共同作業に活用したり、建設現場の事務所に設置して業者間で情報共有したり、出張時に宿泊先のホテルに持ち込んで同僚との共同作業用に活用したりすることもできる。従来の完全据え置き型のNASとは違った活用方法も見えてきそうだ。

B5サイズなので持ち運んでオフィス以外の場所で使うことも可能

 もちろん、AXELBOXの特徴でもあるオールSSDであるのは当然で、内部にある4つのM.2スロット(PCI Express Gen3 x2接続)にNVMe SSDが装着されている。搭載されているSSDは、NAS向けとして開発され、その信頼性の高さが市場でも評価されているWestern Digitalの「WD Red SN700 NVMe SSD」だ。これにより、NASには欠かせない高い耐久性を確保している。

NAS向けに開発されたWestern Digitalの「WD Red SN700 NVMe SSD」を4本内蔵。それぞれにヒートシンクを搭載し、発熱対策も万全だ

 容量はモデルごとに異なるが、1TBのNVMe SSDを4本搭載した4TBモデルで19万9800円(税別)となっている。20万円を切るリーズナブルな価格設定がなされているため、部門単位などでも決済がしやすく、導入の敷居が低いと言えそうだ。

 オールSSDのNASは、これまでデザインや動画編集など、高速なアクセスが要求される現場での作業向けと考えられてきたが、SSDの大容量化と信頼性向上によって、最近では用途を問わず使われるようになりつつある。

 さらに、物理的な可動部分がなく想定外の故障が発生しにくいことから、SSDはSSD寿命の想定がしやすく、設置時のオーバープロビジョニングを適切に実行し、監視と定期的なメンテナンスさえ怠らなければデータを消失しにくいメリットもある。

 シンプルなファイル共有はもちろんのこと、バックアップなどのベーシックな用途であってもSSD NASのスピードと静音性のメリットは高く、HDD搭載NASからの置き換えも検討したいところだ。