沖縄から持ち帰れなかった米軍払い下げケースと木箱の正体

沖縄から持ち帰れなかった米軍払い下げケースと木箱の正体

今回の旅行で最大の買い物(大きさ的な意味で)

 沖縄での米軍払い下げ店巡りもこれが最後。10年近く前に通販で米海兵隊の払い下げスプレー塗料を箱買いしたことのある、「いは軍払い下げ品店」というお店に向かいました。場所は沖縄・那覇市の国際通りから東に5、600m行ったところ。前回の沖縄ミリカジから2kmほど離れた場所にあります。

 店名は経営されている伊覇さんの名前から付けられたもので、お店は先代のお父様から引き継いだとのこと。伊覇という名字の方は90%以上が沖縄在住で、全国で250~300人ぐらいという珍しいお名前のようです。自分が超普通で常に全国10位以内に入ってる名前なもんだから、憧れてしまいます。うらやましい~。

 大道大通りを東に進むと、左手に大きなアメリカ国旗が掲げられているのが見えてきます。店先にはケースやイスなどの大物がゴロゴロと置かれていて、ワクワクが止まりません。

海兵隊のシンボルマークがついた看板とアメリカ国旗が目印

 なぜかコンテナ的ハードケースが好きなワタシ。S&Cミリタリーストアで黒いペリカンケースを買ったばかりですが、ここでも店頭のコンテナや木箱にググッと目を引かれてしまいました。

 最初におっ! と思ったのは赤十字マークが付いたコンテナ。ECS製のLoadmasterというシリーズで、上面下面にブロック状の凸凹があり、積み重ねたときにそれが噛み合うことで荷崩れしにくくなるのが特徴です。ロードマスターというのは、輸送機の人員や貨物の搭載、降機、投下などを管理するペイロード管理者と同じ名前。いかにもなデザインと名前に惚れてしまいます。

 もうひとつ気になったのはグリーンのケースで、メーカーはHARDIGG。S&Cミリタリーストアで買ったハードケースのメーカーであるPELICANと合併した会社です。大きさは赤十字コンテナの3分の2ほどでした。昔から持っているケースと似たデザインなので、ウチ的には統一感が取れそうです。

 この2つの主な違いは見た目のデザインと、フタが全部外れるのか蝶番で繋がっているのかという点です。ECSの方は衣装ケースのようにフタが全部ガパッと外れ、HARDIGGの方は蝶番で開きます。デザイン的に好きなのはECSの方。ブロック部分のゴツゴツ感がたまりません。ただ、これ1個だとせっかくの凸凹デザインが活かされないのがもったいないところ。フタを外すため、荷物の出し入れが少し面倒というのもあります。

 HARDIGGのほうはデザイン的にはおとなし目ですが、旅行のスーツケースのようにフタが開くので、ハンヴィーに積んでおいて荷物を出し入れするには楽そうです。開けたり閉めたり持ち上げたりして散々悩んだあげく、扱い易さを優先してHARDIGGに決めました。

店頭で延々とコンテナ選び。右奥がECS、真ん中と左手前がHARDIGG

 ケース選びで悩んでいる間、横の棚にある木箱も気になっていました。踏台代わりに木箱が欲しいなーと思っていたのです。そしてこの木箱、高さと奥行きが20cmぐらいで幅50cmほどと、まさにあつらえたような踏台サイズ!

 ……なのですが、棚から引っ張り出してみたら結構ズッシリくる重さ。むむ、これは持って帰るのは難しいかも……と、またもや開けたり閉めたり持ち上げたりして悩んでいたら、そっちのケースに入るならまとめて送りますよとのお声が。まじですか!

 早速入れてみたらピッタリ2個入りました。HARDIGGケースも持ち手はあるもののタイヤはないのでどうやって運ぼうかと思っていたところだったので、それではぜひ! というわけで2個ゲットです。

奥の棚にいくつかあった木箱を引っ張り出しました

 というわけで後日でかい包みが届きました。ありがちですが、お店で見たときよりもかなり大きく感じます。狭い玄関がさらに狭くなっていて、家族からの早くなんとかしろという無言の圧力が伝わってきたので、とっとと開けてみます。

 まずはHARDIGGのケース。フタにAFP IAS-03という文字がステンシルで描かれています。なにが入っていた物なのかさっぱりわかりませんが、IAS-04というのもあったので、少なくとも4つに分割されたなにかの機器が入っていたようです。

沖縄から持ち帰れなかった米軍払い下げケースと木箱の正体

 HARDIGGがPELICANと合併する前の物らしく、ラベルはHARDIGGになっていました。型番は特に書かれていないみたいなので、もしかしたら軍の特注品かも。

玄関にあるとかなり大きく見えます

フタにAFP IAS-03の文字

合併前のHARDIGG製。型番は不明です

 中は空っぽ。元々は機材を固定するウレタンクッションが入っていたらしく、外は傷が多いですが中は新品同様の綺麗さでした。形はほぼ正方形で一辺が60cmちょっと。厚さは30cm強あります。

外は傷だらけだけど中はすごく綺麗

 ロータリー錠と呼ばれる頑丈なロック装置が5個付いていて、閉めたら勝手に開いてしまうことはまずありません。フタのフチにはパッキンあり、気密度の高さは抜群!

 前面には気圧調整バルブが装備されていて、内部気圧が下がってフタを開きにくくなったときは、ボタンを押すと内外の気圧差を調整してくれます。持ち手はバネ式で、使わないときはピタッと収納。ブラブラしないのがいいですね。

ロックもゴツい。がっちり留めてくれます

握りやすい持ち手はバネ式

気圧調整バルブ付き

謎の木箱はロケット弾用でした

 木箱は残念ながら文字がスプレーで消されていましたが、光を反射させたりインターネットで調べたりしてなんとか読み取ってみました。

 正面1340-00-725-8382-H8424 WARHEADS 2.75” ROCKETHE M151 W/FUZE M427LOT MCA-3-43 フタWARHEADS, ROCKETUN 0286

 1340-00-725-8382はNSN(物品管理番号)で、H842は部品番号です。どうやらハイドラ70ロケット弾という航空機発射型2.75インチロケット弾の弾頭と信管が入っていた箱のようです。4と書かれているので4個入りだったみたいですね。

弾薬箱などは空であることを明示するためか文字を消されていることが多いです

 HEはHigh Explosiveの略。直訳すると高性能爆薬ですが、日本では榴弾と呼ばれ、対人・対非装甲車両・対建物などに使われます。M151は弾頭の型番で、M427信管により内部の火薬が炸裂し、弾頭の破片で目標を撃破します。

 フタに書かれたUN 0286はDOT IDENTIFICATION NUMBERというもので、米運輸省が輸送時のIDとして割り振った番号のようです。メーカーを示すCAGEコードは19203。ニュージャージー州にあるPICATINNY ARSENALという米陸軍兵器開発&生産施設でした。ミリタリーテイストのグッズでよくミルスペック準拠と書かれていたりしますが、そのミルスペックの制定と管理もここが担っています。木箱自体のメーカーはMILAN BOXという木箱専門の会社でした。

 物騒な箱ではありますが、空になったいまではリンゴ箱と変わりません。弾頭を入れていただけあって頑丈なので、最近太り気味のワタシが乗っても大丈夫。中も超綺麗だったので、余生は物入れ兼踏台として活躍してもらおうと思います。

踏台にピッタリ。2個あるので前席後席に同時に置けます

中は汚れも全然ないので物入れとしても使います

 入口でいきなり大物を買い込んだわけですが、もうひとつ心を奪われた物がありました。次回はそちらのお話を!