パパとママに聞く「子どものPC選び」第2回 - 「親の想像を超える」子どもとPCの付き合い方

パパとママに聞く「子どものPC選び」第2回 - 「親の想像を超える」子どもとPCの付き合い方

このところ、スマートフォンやタブレットの影響で「若者のPC離れ」なんていわれるPC。しかし、学校教育でもPCが活用されているほか、2020年にはプログラミング教育が必修化され、ますます子どもにとって切っても切れないデバイスになる。子どもにPCを選ぶときにどんなことがポイントになるだろうか。デジタル機器に詳しいライターの方々に「もし自分の子どもにPCを選ぶなら」ということでいろいろと考えてもらった。第2回は「Windows Weekly Report」や「Windows 10ミニTip」でおなじみの阿久津良和さん

筆者は3人の子どもを育ててきた。すでに長男と長女は大学生。次男は高校生でPCよりもスマートフォンという年ごろだが、彼らにPCを与えたのは長男が12歳、小学6年生だったように記憶している。当時の小学校では"調べ学習"という生徒が自主的に情報を集めて発表するプログラムが増えてきたことから、比較的安価なPCを用意した。

いまは小学校でもPCの活用が増えている(写真はイメージです)

ただ、そのまま親(筆者)が買い与えた訳ではない。自分たちの共同所有物という考えを持って欲しかったので、3人がお年玉を出し合い、筆者が半額を負担してBTOのデスクトップPCを注文した。プリインストールOSはWindows 7だったが、Windows 8.x、Windows 10と更新し、次男が中学を卒業するまで使っていた。

さて、PCを選んで買うだけでなく、その後の使い方にも気を配る必要がある。結論からいうと「これから子ども用にPCを買うならデスクトップマシンがおすすめ」だ。これは筆者の斜め上を行った子どもたちの使い方と、経験から至った考えでもある。少々テーマと離れて筆者の思い出話になるが、まず「親の想像を超える」子どものエピソードを紹介したい。

ペアレンタルコントロールはWindows 10の標準機能で対応

早期にPCを持たせることの是非については、親によって多様な意見があるだろう。筆者は「どうせ将来的にデジタルデバイスを使うのであれば、早い方がよい」という考えから購入に踏み切った。

当時は3人とも小学生。誰がいつ使うのかと兄弟ケンカが始まるのは火を見るよりも明らかだったので、Windows Liveファミリーセーフティ(Windows 10ではファミリー機能)をインストールし、それぞれPCを利用できる時間帯と最大時間数を設定した。

Windows Defender セキュリティセンターの"ファミリーのオプション"

当時のことを長女に聞いてみると、「遊んでいる時に制限時間が来るため、物足りなかった」という。長男・次男は8~9割がゲームだったが、長女は4割程度が友人とのメールといったコミュニケーションに時間を割いていた。

パパとママに聞く「子どものPC選び」第2回 - 「親の想像を超える」子どもとPCの付き合い方

Windows Liveファミリーセーフティには前述した利用時間制限の他、Webサイトの閲覧制限やダウンロードの可否、起動したアプリケーションの履歴といったものを確認できる。親である筆者は毎週送られてくるログメールを見ながら、子どものPC使用に関する制限要素を調整しつつ、制限と緩和を行っていた。それでも子どもは親の目を盗んで冒険するものである。

とある日、長男が1人だけ自宅に残るシチュエーションがあった。ペアレンタルコントロールのかかった自身のアカウントではなく、筆者の管理者アカウントでログインしていた。そこで長男は不正広告にひっかかり、消しても消しても消えないバナーを前にパニック状態。泣きながら筆者に詫びを入れてきたのである。いまなら多要素認証でセキュリティを強化できるものの、当時使っていたPCは指紋認証などに対応しておらず、自身が用意したセキュリティの甘さを痛感した事件だった。

親子でマイクラ

その後の我が家は、高校生になった時点で個人用タブレットをそれぞれ買い与えていたため、PCを使うのは主に中学生の次男だけとなった。筆者と同じくPCゲーム好きで、Flashベースのシンプルなゲームを楽しんでいたが、気付くと動画サイトで「Minecraft」の動画ばかりを観ていたのである。

Minecraft

当時の筆者は存在こそ認識していたものの、「マイクラの何が楽しいのか?」と敬遠していた。だが、次男の力説に根負けし、Java版をオンライン上で購入。Windows 7時代の安価なPC(当時はWindows 8.xにアップデート済み)ではGPU性能が乏しく、横で見ていても動作はかなり厳しかった。

そこでロープロファイルのグラフィックスカードを追加購入し、それなりに楽しめる環境を用意したところ、ようやくゲームを楽しめるレベルに至った。筆者は17時に業務を終えて自宅で晩酌するのが日課だ。その横で次男のマイクラを見ていると、筆者も興味を持つようになってしまった。正に"子どもから教えられる"出来事の1つである。

改めて思い返すと反省点も数多くありながらも、早期からPCを与えたことに後悔はない。ちょうど夏休みで帰省していた長女に尋ねたところ、「分からないことをすぐに調べる習慣がついた。ただ、(当時小学生低学年だった)次男には早かったかもしれない」と、自分が感じているメリット・デメリットを教えてくれた。

小さいときに使わせるならミドルレンジのデスクトップPCがお薦め

現在幼いお子さんを抱えている親御さんにPCを提案するのであれば、基本的にデスクトップPCをオススメする。いまなら2-in-1 PCの方がスタイリッシュで使い勝手もよいのは重々承知ながらも、子どもたちがPCを自室に持ち込み、友人に見せるため持ち出す可能性は拭い切れない。彼らは欲望に正直であり、親の想像を超える行動を取るものだ。

次に子ども用PCの設置場所を考えると、共用空間となるリビングになるだろう。そうなるとスペース的な問題でデスクトップではなく、2-in-1 PCやノートPCを選ばざるを得ないケースも出てくる。その際は前述のような出来事を避けるため、移動できないセキュリティケーブルを付与することをおすすめめしたい。

PCのスペックについては、IT技術は日進月歩で進化するため、それほどの高性能は必要ないだろう。我が家のケースを振り返ると、子どもたちはPCが遅くても、それを補うだけの発想や工夫を自然と重ねていた。不便は発明の母なのである。

ちなみに、子どもたちにPCを与える機会は大学生時代にもう一度訪れる。大学ではWordやExcelを使うのがスタンダードで、場合によっては大学1年生から必須アイテムに数えられる。

Surface Pro

長男にはお古のノートPCにWindows 10をインストールして手渡した。一方で建築科に進んだ長女は大学の授業でCADを使うらしく、GPUはアッパーミドルクラスのPCが必要だと、筆者が所有する2-in-1 PCを狙っている。現在の外出用PCであるCore i7モデルのSurface Proが娘の元に行く日も近そうだ。

阿久津良和(Cactus)