ルーマニア、ウクライナ避難民12万人に、多くの企業・個人が支援
ルーマニアでも、ロシア軍のウクライナ侵攻による避難民の流入が増え続けている。ルーマニアの3月3日付「ナインオクロック」紙は、3月2日午前8時時点で、ロシアの軍事侵攻が始まった2月24日からウクライナから11万8,461人が入国し、このうち7万26人が出国、未成年の約1万8,000人を含む4万6,435人がルーマニアにとどまっており、1,070人が難民申請したという、ルーマニア政府のダン・カルブナル報道官の発表を引用した。
多くの民間企業・個人が支援を差し伸べている。同紙によると、ルーマニアのIT企業が立ち上げた宿泊、食事、送迎、医療、物資など支援申出内容が一覧できるウェブサイト「Refugees.ro」には、ルーマニア国内で約2,000件の支援申し出が登録されている。このウェブサイトにはビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)企業が多言語による無料電話相談サービスを提供している。また、携帯通信キャリアのテレコム・ルーマニアは4日、3月31日までウクライナ向けの国際電話や、ウクライナ国内に持ち込んだ場合の通話、データローミングを全て無料にすると発表。ハンガリーのLCCのウィズ・エア(Wizz Air)は2日、ウクライナからの避難民向け支援サービスとして、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、ルーマニアを出発するフライトに10万席を無料で提供すると発表した。
3日付「ナインオクロック」紙によると、2014年の政府緊急指令25/2014号(ルーマニア語)によって、ウクライナ国籍者は労働許可証がなくても上限滞在期間の9カ月間、労働することができる。また、その間、社会保険と健康保険への適用を可能にする難民認定を申請することができる。
軍事面では、同紙によると、クラウス・ヨハニス大統領が2日、ポルトガルのアントニオ・コスタ首相と電話会談を行い、ポルトガル軍がルーマニアに174人を派兵することに謝意を述べた。NATOの枠組みとして、ルーマニアには米軍が1,000人増派し(2022年2月8日記事、2022年2月15日記事参照)、また、NATO即応部隊としてフランス軍から500人、ベルギー軍から300人(2022年3月2日記事参照)が派兵されている。ルーマニア国防省は2日、ドイツがユーロファイタータイフーン戦闘機6機、イタリアが同戦闘機4機の追加、米国がF16ファイティングファルコン8機を派遣したと発表した。
ウクライナのザポリージャ原発がロシア軍から攻撃されたことを受け、ルーマニア国内では、欧州の核施設へさらなる攻撃が広がることを懸念して、被ばくによる甲状腺がんを予防する効果のあるヨウ化カリウム錠剤を買い求める動きが一斉に広がり、全ての薬局の在庫がなくなったと、大手経済紙「ジアルルフィナンチアレ」が3日報じた。同紙によると、通常は医師の処方箋がなければ購入できない。保健省は4日、ルーマニアのチェルナボーダ原発に万が一の事故の場合に政府が速やかに国民に配給し、服用のタイミングを指示すると発表した。
(西澤成世)