【SIMフリースマホで海外SIMを使おう!】ドイツ「blau」 初期設定不要、装着すれば1GBのデータ通信が可能 - トラベル Watch Watch

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ASUSの「ZenFone 2」に「blau」のプリペイドSIMを装着し、East Side Gallery(ベルリンの壁)前で使用

 今回は、ドイツの通信事業者「E-Plus」の回線を利用するMVNO「blau」が販売するプリペイドSIMを紹介する。

ドイツの家電量販店やコンビニなどでは、このように多数のプリペイドSIMが販売されているが、どれも自分で初期登録作業を行なう必要があり、使うまでにかなり手間がかかる

 blauに限らず、ドイツでは空港や駅、街にある家電量販店やコンビニなどでプリペイドSIMカードが販売されており、簡単に入手できる。また、SIMパッケージの販売価格も10ユーロ前後(ほぼ同額のチャージ代金込み)と比較的安い場合が多い。

 しかし、それらの多くは、購入してすぐ利用できないという問題がある。販売店はプリペイドSIMのパッケージを販売するだけで、データ通信や通話を行なえるようにする初期登録作業は、購入者が自分で行なう必要がある。そして、それには電話をかけたり、インターネットで専用サイトにアクセスしたりして行なう必要があり、手間と時間がかかってしまうし、そもそも、そのための電話やインターネットアクセスの手段がなければ登録作業すら不可能だ。

 blauのプリペイドSIMカードも同様で、通常のパッケージでは、購入後に自分で登録作業が必要となる。ただ、空港など一部のショップでは、登録作業不要で、購入直後からデータ通信や通話が可能なパッケージが販売されている。今回購入したのは、そのパッケージだ。

 購入場所は、ドイツ・ベルリンの「テーゲル空港」内にある、家電製品などを扱っている販売店だ。こちらで扱っているblauのプリペイドSIMは、販売価格が19.95ユーロ(約2800円)と、ベルリン市内の家電量販店などで販売されているパッケージ(9.9ユーロ、約1400円)の2倍ほどの価格となっている。しかし、購入後にSIMフリースマートフォンにSIM装着するだけで、すぐにデータ通信を行なえる。この手軽さは、時間のない旅行者にとって大きな魅力だ。対応するSIM形状はSIM、microSIMまたはnanoSIM。このうちnanoSIMは別パッケージとなるので、間違えないようにしたい。購入時にはパスポートの提示が必要となる。

ドイツ・ベルリンの「テーゲル空港」内にあるこの販売店では、初期設定不要で使える「blau」のプリペイドSIMが売られているショップ横の壁でSIM販売をアピールしているので分かりやすい購入時にはパスポートの提示が必要。販売価格は19.95ユーロ(約2800円)だSIM形状はSIM、microSIM対応。nanoSIMは別パッケージとなる

 契約プランは、「Internet-Flat 1GB」となる。これは、1カ月で1GBのデータ通信が行なえるというプラン。通常のblauのプリペイドSIMには、14.9ユーロで1カ月3GB、19.8ユーロで1カ月5GBのデータ通信を行なえるプランがあり、それらに比べると割高という印象もあるが、登録作業不要ですぐに使えるというメリットは大きい。長期間の滞在でなければ、テザリングでPCを繋ぐなどしなければ容量的にも十分だろう。

 利用方法は、まずパッケージからSIMを取り出して、スマートフォンに装着。SIMには標準でPINロックがかけられているので、スマートフォンの電源を入れ、SIMカードの台紙に書かれている「PIN 1」番号を入力。その後しばらくすると、スマートフォンが回線提供元のE-Plusの電波を掴む。E-PlusのLTEバンドは1800MHz(Band3)なので、日本で販売されているSIMフリースマートフォンのほとんどが対応している。電波を掴むとAPNが自動的に設定され、データ通信が可能となる。

 今回利用したASUSのZenFone 2でも、LTEの電波を掴んだあと、APNの設定が自動的に行なわれた。もし、APNの設定が自動的に行なわれなかった場合には、APN「internet.eplus.de」、ユーザー名「blau」、パスワード「blau」、認証タイプ「PAP」に設定すればいい。なお、PIN番号の入力は、スマートフォンを再起動するたびに必要となる(スリープ復帰時は不要)が、設定の「セキュリティ」からSIMカードロックを解除しておけば不要となる。

SIMの装着や初期設定は自分で行なう必要があるが、それほど難しくないSIMにはPINロックがかけられているので、スマートフォン起動時にPINを入力する必要があるPINは、パッケージ内のSIMカード台紙に書かれている「PIN 1」の数字を入力するE-Plusの電波を掴むと、自動的にAPNが設定され、すぐにデータ通信が可能となる自動的にAPNが設定されない場合には、パッケージ付属の小冊子を参照しつつAPNを設定ホテルの室内で計測。野外でもほぼ同等の速度が発揮されたが、建物の奥や地下などでは速度が大きく低下する場面が多かった

 さて、LTEの電波の強度だが、ベルリン市内はおおむね問題ないと感じた。LTE接続時の通信速度は、上りこそ4~8Mbpsだったが、下りは20Mbpsを超える場面が多く、地図アプリの参照やWebアクセスは十分に快適だった。Google Mapsで近くのレストランなどを検索した場合でも、写真やクチコミ、ショップのホームページなどがストレスなく表示された。また、上りの速度がやや遅いとはいえ、TwitterやFacebookに写真をアップロードする場合でも長時間待たされることはなく、基本的には不満なく使えた。

 ただ、建物内や地下鉄では、その状況が一変。ドイツでは石やレンガ造り、鉄筋コンクリートの建造物が多く、建造物内ではLTEの電波が届きにくく、3Gに落ちる場面が多く見られた。また、速度も一気に低下し、ホームページの閲覧がままならないという場面もあった。

 これはblauだけの現象ではなく、ほかの大手キャリアのSIMを使っている場合でも、ほぼ同様に建物の奥では電波が弱くなる傾向が強い。しかし、blauではその頻度がやや多く見受けられたように思う。それでも、今回滞在したホテルの部屋では問題なくLTEの電波を掴んでいたので、大きな建造物の奥まった場所や地下などでなければ大きな問題はないものと思われる。

 ドイツで入手できるプリペイドSIMは、種類が多く価格も比較的安価だが、冒頭に紹介したように、自分で複雑な登録作業が必要となる場合がほとんどで、非常に手間がかかる。長期滞在で時間に余裕がある場合には、こうしたSIMを選択した方がコスト的には有利だろう。しかし、観光などでの短期滞在で手間や時間を節約したい人には、今回紹介したような手続き不要のプリペイドSIMの利用をお勧めしたい。

LTEを掴んでいると下り速度は十分に速く、Google Mapsでの検索やWebアクセスも快適に行なえたGoogle Mapsでルート検索し、ベルリンの壁を見学。詳しく道順が表示されるので、迷わずに行けたこんな狭い幅の壁で東西が隔てられていたとは、非常に感慨深いこちらはブランデンブルグ門。観光客が多かったが、この周辺でも問題なくLTEに繋がっていたベルリン大聖堂と、右奥はベルリンテレビ塔。blauのプリペイドSIMは、ベルリンに限らず大都市圏内ならほぼ問題なくLTEに繋がるそうだ鉄道も、地上を走っている間は問題ないが、トンネルに入ると3Gになり、速度も一気に遅くなってしまう
キャリア名blau
購入価格19.95ユーロ
カードの種類SIM、microSIM、またはnanoSIM
対応周波数帯LTE:1800MHz(Band3)、3G:2100MHz、GSM:900/1800MHz
APNinternet.eplus.de(ユーザー名:blau、パスワード:blau、認証タイプ:PAP)
滞在時期2015年9月上旬
使用デバイスASUS「ZenFone 2」