ドクター・ジル・バイデン、教職を諦めないファーストレディの進む道。

ドクター・ジル・バイデン、教職を諦めないファーストレディの進む道。

ジル・バイデンがコミュニティカレッジを訪問すると(最近になってそうした機会は明らかに増えた)、本来ならば一国のファーストレディとして、州知事をはじめとする公人が定めた、厳密な式次第によるもてなしを受けることになる。だがカレッジの理事や教師にとっては、彼女はファーストレディである前に、カレッジの教授の職にある「ジル・バイデン博士」だ。イリノイ州ソーク・ヴァレーにあるコミュニティカレッジでは、彼女の訪問に合わせて、ピンクと白の花が至るところに置かれた。これは白のドレスとピンクのジャケットという、彼女の訪問時の装いとぴったりマッチしていた。「Welcome Dr. Biden( ようこそドクター・バイデン)」と書かれた看板も掲げられたが、これは「Dr.」のピリオドの大きさだけでジルの頭のサイズくらいもあるという、とてつもなく大きなものだった。昨年12月、彼女が当然使うべき資格を持つ「ドクター」という称号を使ったことを揶揄する人々が現れたが、この巨大看板は、あの時の一件に対するささやかな意趣返しのようにも感じられた。

ドクター・ジル・バイデン、教職を諦めないファーストレディの進む道。

実際、最近訪れたすべての場所で、複数の学位を持ち、教師という職業に生涯を捧げてきた女性として、ジルは敬意を払われている。誰にでも、大好きだった先生という存在がひとりはいるものなのだ。

4月にナバホ・ネイション(アメリカ西部にあるナバホの準自治領)を訪問した際には、インディアン・カントリー版のルース・ベイダー・ギンズバーグと呼ぶべき人物との会見に臨んだ。それはナバホ・ネイションの最高裁判事、ジョアン・ジェインだ。ジェインは髪をタイトなポニーテールに結び、ドクターマーチンのブーツを履いている、小柄な女性だ。ジェーンは対面時に、「ドクター・バイデン、数百万の人があなたの『教えることは単に私の職業ではなく、私という人間そのもの』という発言に勇気づけられています」とジルに語りかけた。アラバマ州バーミングハムでは、性的虐待のサバイバーで、両親がドラッグディーラーだった弁護士、リズ・ハントリーと対面した。「私は心の底から、ドクター・バイデンに感謝したいです。それは、ファーストレディとして果たしている役割だけではなく……教育に打ち込んできた、その気概に対してもです。彼女からは、移動中の飛行機で、学生のレポートを採点していた、という話を聞きました。何ですって? ほかでもないファーストレディがそんなことを?と驚きました。教育者は天職だ、とよく言われます。魅力に取りつかれてしまうものだと。そしてジルも、この仕事を手放すつもりはないのです」

ファーストレディが教職を続ける理由。