アングル:アップル判決、グーグルに有利か 課金ルール見直し
ロイター編集
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[オークランド(米カリフォルニア州) 10日 ロイター] - 米カリフォルニア州の連邦地裁がアップルに最大30%のアプリ内課金を引き続き認めたことで、アンドロイド向けアプリの開発業者がグーグルに対して起こしている訴訟の行方も不透明になった。
今回の地裁裁判は人気ゲームアプリ「フォートナイト」を開発するエピック・ゲームがアップルを相手に起こしていたもので、自社の課金システムの利用を義務付けるアップルのアプリストア「アップストア」が反トラスト法(独占禁止法)に違反すると主張していた。連邦地裁は10日、アップルに対し、外部課金への誘導を認めるよう命じた。
エピックを含め、アプリ開発業者はグーグルも訴えている。裁判は少なくとも1年先で、それまで原告、被告とも今回の判決を精査する時間があると、法律の専門家は指摘する。
アンドロイドのアプリストア「グーグルプレイ」もアップルと同じような規約を採用しており、DAデイビッドソンのアナリスト、トム・フォート氏はグーグルにとってリスクだと話す。議会が法案を作る可能性もあるという。
判決を受けてアップルの株は3.3%、グーグルの親会社アルファベットの株は1.9%下落した。
しかし、地裁はアップルにアプリ内課金と15─30%の手数料を徴収することを認めた。アップル法務顧問のキャサリン・アダムス氏はは「非常に喜ばしい」と記者団にコメント。エピックのティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)は「開発者にとっても消費者にとっても勝利ではない」とツイッターに投稿した。
法律の専門家の間でも意見は割れている。バンダービルト大学法科大学院のレベッカ・アレンズワース教授はグーグルに不利な判決だと語る。一方、反トラスト法に詳しいアルストン・アンド・バード法律事務所のパートナー、バレリー・ウィリアムズ氏は、「(グーグルは)判決に勇気づけられるだろう」と話す。
連邦地裁のゴンザレス・ロジャース判事は、流通に規制を設けることでユーザーはウイルスなどを懸念せずアプリを購入できると指摘した。「アプリを審査して詐欺や不快なコンテンツ、著作権を侵害するものを排除するとともに、個人情報の取り扱いに厳しい基準を設け、『広い』意味で安全性が向上する」とした。
さらに判決文は、手数料が「桁違いの利益」をアップルにもたらすとする一方、制限緩和をアップルに強要すればアプリ開発業者にプラットフォームを提供しても収益を得られなく恐れがあると指摘。高度な安全性と集中管理という、アップルが主張する利点が損なわれる恐れがあるとした。
グーグルも訴訟書類の中で、個人情報の保護と安全性を訴えて規約と手数料を正当化している。グーグルのほうが米国のアプリ市場でシェアが小さいことを考えると、原告は主張を見直す必要があるかもしれない。地裁は、アップルが独占企業だとするエピックの主張を認めなかった。
もともとグーグルに対する訴訟は難しかった。グーグルのシステムはアプリストア以外からアプリをダウンロードすることが可能で、市場を独占しているとは訴えにくい。自社の方針を無理に押し付けることもなかった。
ロイターはグーグルとエピック、さらにグーグルを訴えるアプリ開発業者にコメントを求めたが、いずれも拒否した。
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